雨降ってなんとやら

雨降ってなんとやら

色んな話をします。

2016年に見た映画を一気に振り返る

 いつの間にやら2016年も残りわずかですね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 さて、年の瀬なので年の瀬らしいことを一応こちらのブログでしておきたいと思い立ちました。書きたいと思った話題は3つほど、しかし思い立ったのが12月30日の昼過ぎという無計画さだったので、とりあえず一番早く書き上がりそうだし個人的に一番書きたいこの記事を最初に書こうと思いました。残りの2つは、年明けに書くかもしれないし、書かないかも知れません。

 この記事ではタイトル通り、私が2016年に見た映画をなるべくざっくりと、分かりやすく振り返ります。
 今年というと邦画が非常に活況でしたね。『シン・ゴジラ』、『君の名は。』、『この世界の片隅に』……、まあ全部見てないんですけど。理由はと言いますと、今年はちょうど就職活動が非常に忙しく、就活でお金もなく、自分の中で一番優先度が高い映画達くらいしか映画館で見る事が出来なかったからです。就活終わって卒論も終わった今ですらお金があまりないです。某若手声優の追っかけとアイマスに結構なお金を溶かすようになったというのもあります。
 なお、この記事で取り上げる映画は以下の基準を満たすもののみとなります。

  • 2016年1月1日以降に日本で劇場公開が封切られたもの
  • 劇場公開されているうちに私が映画館で見たもの

 当方基本的に好きな物はとにかく褒めて伸ばしたいので、2016年に見た映画をどんどん褒めちぎっていく形になります。公開順に紹介していきますので、2016年を振り返る一助になればと思います。語彙力が無かったり、話が反れたり、もちろんネタバレもがっつりしていくので、ご了承を。
 それでは早速、1月に公開された映画からどんどん振り返って行きたいと思います。

KING OF PRISM by PrettyRhythm

http://kinpri.com/kinpri.com
1月9日公開

 2016年最初の爆弾にして最強の飛び道具、キンプリ。キンプリを複数回見たせいで「年が明けたら見よう!」と思っていたフォースの覚醒の劇場公開を見逃し、年末になるまで見られなかったのは内緒です。
 スタッフ達が背水の陣で挑んだこの映画にかける強い思い、圧倒的な熱量がこもった映像、凄まじいパワーを叩き付けて来る楽曲……100万カラットです。
この映画、応援上映が特に話題になりましたが、個人的にこの映画の強みは「音響」にあると思います。劇中歌、サントラの完成度の高さは勿論、それらを映画という一つの作品の中で光らせる音響の技が本当に凄い……!映画館で見ることで、全身がプリズムの輝きに包まれるという体験をすることが出来ます。まだ上映している映画館は多分どこかにあるので、もう上映していなくてもキャラクターの誕生日に合わせて何らかの形で復活上映をする館もあるので、劇場で見たことがないという方は是非劇場でご覧ください。

追記(2017.1.20)
続編公開に向けてキャラの誕生日毎に全国で大々的に復活上映が行われることが決定しました。キンプリを見てください。
NEWS | 「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」公式サイト

 続編はタイトルの通りにヒロ様が中心になることが予想されますが、一作目の最後の映像でルヰ君がprideを歌う衝撃的なシーンが流れていました。ヒロ様にとって大切な曲であるprideを奪われたヒロ様はどう戦うのか、ルヰの正体とは?シュワルツローズの新たな刺客とは?プリズムキングの称号は誰の手に?スタァ候補生全員分の3Dモデルを見る事は出来るのか?新規楽曲は?今から楽しみで仕方ありません。
 余談ですが、私はこの映画に多く出演していらっしゃる若手男性声優の方々からアイドルマスターSideMに興味を持ちました。ドラマチックLOVEでは少々控えめですがソロ曲では全開になっている涼野ユウ役・内田雄馬さんのビブラートが好きです。アイドルマスターSideMでは桜庭薫役を演じておられます。桜庭ソロ楽しみだなあ

シビル・ウォー/ キャプテン・アメリカ

http://marvel.disney.co.jp/movie/civilwar.htmlmarvel.disney.co.jp
2016年4月29日公開

 映像が豪華すぎてこれ作ったスタッフ終わった後に燃え尽きてバターンって倒れたりしないだろうな……ってちょっと心配になりました。
 アベンジャーズが分裂して戦うことになるこちらの映画。スパイダーマンMCU初参戦で非常に話題となりました。私テレビアニメ『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』からマーベル映画を見るようになった者なのですが、こちらのアニメはスパイダーマンが序盤の牽引役として非常に頑張っていたんですね。なのでアベンジャーズスパイダーマンが実写で同じ画面に収まっている光景というのはまさに夢にまで見た光景、と言った感じで、おまけにアントマンジャイアントマンになるし、空港の戦いのシーンとかもう興奮しっぱなしで、映画のテーマに漂う重苦しさに対して完全に男児の心で見ていました。映画の内容というかシナリオについては賛否両論ありますし私もそれは仕方ないかなあと思っていますが、戦闘シーンは本当に一見の価値ありです。あと一女オタクとしてはキャップとバッキーがちゃんと親友関係に戻れてよかったです。
 それとMCUスパイダーマンの吹き替えが新進気鋭の若手声優・榎木淳弥氏なのはナイスキャスティングとしか言いようがないです。ちなみにシビルウォー公開当日の榎木氏は『アイドルマスターSideM』に登場するアイドルユニット・S.E.Mの舞田類役としてニコニコ超会議というイベントのライブに出演していたのですが、ステージ上でのパフォーマンスが本当に素晴らしかったです。演技の幅が広い方なので、MCUスパイダーマンのどんな面を吹き替えで引き出してくれるのか、来年公開の『スパイダーマン ホーム・カミング』が本当に楽しみです。

デッドプール

http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/www.foxmovies-jp.com
2016年6月1日公開

 4カ月だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!アメリカでの公開から4カ月も待った!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!待った甲斐があった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 8月公開予定だったのが6月3日公開予定になり、それが更に早まって6月1日公開になったこの映画。いや本当に、本国のTwitterアカウントをギリギリして見ながら公開を待っていて良かった。日本公開の時にはもうアメリカでは円盤が出ていたとか何とか
 デッドプールというふざけた一面が強いヒーローが主人公の映画ですが、ちゃんと「スーパーヒーローもの」してるし、ヒロインとの「ラブストーリー」でもある。2時間越えが当たり前の最近のスーパーヒーロー映画の中では1時間48分と短めですが、その短い中に気持ちよく進んでいくシナリオとデッドプールの小気味よい喋り、キレのいいアクションががっつり詰め込まれているので、短さをあまり感じさせない、しかし決してしつこくない濃さの映画になっていました。例えるなら、めっちゃおいしいジャンクフード。マックのベーコンレタスバーガーとかチキンフィレオバーガーみたいな。
 あとこの映画のコロッサスはめっちゃ萌えキャラだなって思いました。これまでのX-MENシリーズのコロッサスからがらりとイメージを変えて来て、より親しみが増したなと。
 ゴールデン・グローブ賞のミュージカル・コメディ部門への作品賞・主演男優賞へのノミネートも発表され、続編への伏線もあり、今後も非常に楽しみな映画シリーズです。2はよ。

X-MEN:アポカリプス

http://www.foxmovies.jp/xmen/www.foxmovies.jp
2016年8月11日公開

 映像が豪華すぎてこれ作ったスタッフ終わった後に燃え尽きてバターンって倒れたりしないだろうな……ってちょっと心配になりました。(2回目)
ファースト・ジェネレーションに始まった『X-MEN』新三部作を締めくくる作品。スタッフがこれでもかとやりたいことを詰めて詰めて一品一品にもしっかり拘った豪華なお重という印象を受けました。
 X-MEN新三部作のキャラクター達は、MCUのキャラクターに比べていわゆる「二次元」的なキャラ付けが特徴だと私は勝手に思っているのですが、そういったキャラの特徴を前面に押し出しつつ彼らを組み合わせた時に起こる化学反応や関係性の変化、逆に変わらない物、そういう新三部作の良さもしっかりと堪能できました。
 個人的にはハンクがレイブンと恋愛的な意味ではくっつかなかったのが良かったです。くっついてくれてもやぶさかではないのですが、恋愛的な意味でくっつかないのがこの二人らしい。ハンクがちょっと奥手すぎるだけとも言う。恋愛とはまた違う人生のパートナーという形に収まったなあと思いました。
 もう、本当に大好きな映画です。今年見た映画の中で「好き」というレベルでは一番かもしれません。これを劇場で見る事が出来て良かった……新三部作の完結編がこれで良かった……ありがとう……ありがとうブライアン・シンガー……。

劇場版 銀河機攻隊マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子

http://mjp-anime.jp/index.htmlmjp-anime.jp
11月4日公開

 映像が豪華すぎてこれ作ったスタッフ終わった後に燃え尽きてバターンって倒れたりしないだろうな……ってちょっと心配になりました。(3回目)
 2013年に放送されたテレビアニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』の劇場版となる本作。大好きなアニメなので、劇場版が作成されると聞いたときは本当に嬉しかったです。そして、実際に公開された映画はこちらの想像をはるかに上回る出来でした。
 一部回想シーンを除いてほぼ全編新規カット、テレビアニメ版で特にクオリティが高かった話数の戦闘シーンを劇場版で一気に凝縮させ爆発させたような無茶苦茶なクオリティの高さの戦闘シーン。テレビアニメ版と変わらない、程よい緩急のキャラクター達の空気感。テレビアニメにも描かれていた、先輩から後輩へ、あるいは前世代から次世代へのバトンタッチ。何よりも、チーム・ラビッツのチームとして、家族としての絆。そういった、テレビアニメ版で描かれていたものをしっかり込めた、まさしく「超絶豪華なボーナスステージ」でした。テレビアニメ版が続きがとても気になる終わり方をしていただけに、少し時間は掛かったけれどこの映画を見る事が出来て本当に良かったです。
 マジェプリはいいぞ。

ローグ・ワン/ スターウォーズ・ストーリー

http://starwars.disney.co.jp/movie/r1.htmlstarwars.disney.co.jp
12月16日公開

 今回挙げた映画、どれも好きなんですけど、ベスト1を選ぶならこの映画だな、と思います。それくらいに重く、強い映画でした。
 私はスターウォーズが好きな親に育てられたもので、小さい頃からスターウォーズを見て育ちました。その中でも一番好きなのが『エピソード4/ 新たなる希望』です。そしてこの映画で描かれるのは、エピソード4で僅かに語られた「デス・スターの設計図を入手した反乱軍」の物語。
 まずこの映画、スターウォーズなんだけどがっつり泥臭い戦争映画なんですよ。でもすごくスターウォーズなんですよ。
 反乱軍はもちろんエピソード4~6にも登場します。しかしこの映画では、ジェダイのいない反乱軍がどれほど絶望的な状況の中で戦っているのか、それでも僅かな希望を頼りに戦っている、そんな姿ががしっかり描かれていました。
 エピソード1~6を見ている我々はジェダイもフォースもスターウォーズ世界の中に当然あるものと分かっています。しかしルークだってオビ・ワンと出会う前はまさにジェダイもフォースもおとぎ話の中の存在だったわけです。エピソード7からの主人公であるレイだって、そうでした。彼らが生きていた世界を感じ取ることが出来て、だからこそ反乱軍にとってのジェダイやフォースに対する、「希望」としての重みを強く強く感じました。だからこそ、この映画の中ではフォースを操ることが出来るダース・ベイダーの絶望的なまでの圧倒的存在感が際立つ。反乱軍が必死でつないだ希望があるからエピソード4の「新たなる希望」へと繋がるのだと実感します。
 キャラクターの話をすると、女主人公のジンとキャシアンの男女バディものとして見てもすばらしかったです。最後までキスをしないの、男女バディものとして100点満点。個人的にキャシアンは映画の中で動いている姿がポスターの5万倍くらいかっこよかったです。
 また、「父親」という存在がジンの行動に強い影響を与えている点は、ルークに通じるものを感じました。
 しかしこの映画が公開中のつい先日、レイア姫役のキャリー・フィッシャーさんがお亡くなりになりました。最後に映し出された、レイア姫の、希望を信じる表情がとても印象的だった分余計に、非常に残念です。どうかフォースと共にあらんことを。

 今年は色んな映画がありました……と言いたいところですが、私が見てるのアニメ映画と娯楽大作ばっかりでした。本数もそんなに見てないですし……。個人的には大好きなイギリス人俳優が主役級で出ている映画が2本も同時期に劇場公開されたのにどっちも見る事が出来なかったが本当に悔しいです。多分一生根に持つ。
 今年は本当に忙しくて映画を見る精神的余裕がある時間がまずそんなになかったので、来年こそはたくさんたくさん、いい映画と出会いたいです。まず1月にドクター・ストレンジが公開されますし、MCU映画は他にもスパイダーマンガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの続編が控えています。アニメ映画だとなんといってもKING OF PRISM PRIDE the HEROが夏に公開されます!ポケモン映画もここ数年劇場に足を運べていないので、来年こそは……!と思っています。
 そもそもこのブログは別に映画だけの話をするわけではないですが、一応映画は大事な趣味の一つです。2017年も、いい映画にたくさん出会えることを祈っています。
 今年の記事公開はこれで最後になるかと思います。
 皆さん、よいお年を!

「ベイブレードバースト」という素晴らしいスポ根系アニメを見てほしい

 タイトルそのままの内容ですが、今日の記事は、テレビアニメ『ベイブレードバースト』についてです。
 『ベイブレードバースト』(以下『ベイバ』)は、テレビ東京にて毎週月曜の夕方17時55から2016年4月から放送されているアニメです。
 タイトルそのまま、「ベイブレード」というおもちゃを題材としています。

www.beyblade.tv 

www.tv-tokyo.co.jp

 このベイバでは、競技としてのベイブレードに夢中になる男の子達の姿がスポ根ものさながらに描かれています。どの子達も真っ直ぐベイに向き合い、ベイを愛しているからこそ伸び悩む自分に苦しみ、そして仲間と切磋琢磨して、高みを目指していきます。
 そしてシナリオがとても丁寧。作り手がしっかり作品やキャラクターと向き合い、主なターゲット層である子供達に対して真摯かつ誠実に作っているからこそ全ての年齢層が楽しめる作品になっていると感じます。
 あとOPでSEがちゃんと鳴る。そこホビアニのOPとして大事だし重要だと思います(個人の意見です)。

 ベイバの最大の特徴の一つは、何と言っても「ベイブレードを使って悪事を企む者がいない」という点ではないでしょうか。
 そう、「出てこない」のが特徴です。
 ホビアニと言ったら、視聴者側の世界ではおもちゃとして発売されているアイテムを利用して世界征服を企む悪の組織がお決まりのように登場します。
 しかしベイバにはそんなもの出てきません。
 出て来ないんです。そう、それこそが特徴。出て来ないからこそ、子供たちが何かの使命感や世界の危機に立ち向かう重さにとらわれることなく、純粋に心からベイブレードという「競技」に打ち込める。
 みんな純粋にベイブレードに打ち込んでいて、ブレーダーである彼らを応援する周りも心から応援していることが分かるから、悪人が出て来ないっていうところもすごく良いです。
 勿論、そういう組織とかが出て来るアニメだって面白い作品沢山ありますよ。ただそういう作品が大多数なもので、ベイバのようなホビーを純粋にずっと、スポーツ的な競技として描く作品は少数派です。
 個人的にはキャラの生死とか裏切りとかそういうので胃と心にすごいストレスがかかってしまう体質なので、ベイバの人の命がかかってないスタイルは見ていて非常に安心します。

 制作陣が実際の大会に取材をした上で制作したというエピソードからも分かるように、真っ正面からベイブレードという競技を描くことで、ベイブレードが好きなテレビの前の子供達に対しても真摯かつ誠実に作られたアニメです。そして、子供達に対して真摯で誠実だからこそ、大人が見ても胸が熱くなる作品でもあります。
 何かに真剣に打ち込む少年たちは最高にかっこいい。
 そう心から思わせてくれる、それが『ベイブレードバースト』なのです。

 そんな『ベイブレードバースト』!なんとAmazonプライムビデオで全話無料配信中!プライム会員は最初の三十日は無料お試し可能です!
 コロコロ公式YouTubeチャンネルでは地上波放送後すぐに最新話を一週間無料配信!
 物語は現在、全国大会編に突入。まずは団体戦で、仲間と共に全国の頂点を目指す!新たなライブも続々登場し、物語はどんどん熱くなっていきます!
 まだまだ放送半年過ぎたところ、一日につき一、二話のペースなら余裕で追いつけます!
 『ベイブレードバースト』を!『ベイブレードバースト』を是非ともよろしくお願いします!!

「爆丸」10周年に寄せて・『爆丸バトルブローラーズ』というアニメの話  

爆丸バトルブローラーズ』というアニメをご存知でしょうか。

 2006年7月より展開された玩具「爆丸」を原案として2007年4月から1年間放送されたテレビアニメです。その後間を置いて2010年3月から2011年3月まで第2期『ニューヴェストロイア』、2011年4月から2012年1月まで第3期『ガンダリアンインベーダーズ』が日本でテレビ放映されました。

 

私は第2期の『ニューヴェストロイア』で爆丸と出会いました。私はこのアニメが本当に好きで好きで、このアニメをきっかけにホビアニというジャンルが好きになりました。放送開始時ぎりぎり中学生(放送中に高校生になりました)だった私は、爆丸をきっかけに、自分はどうやら少年漫画や深夜アニメよりキッズ向けアニメの方が肌に合っているらしいと気付いてしまったのです。

 

今回は、私事全開な内容にはなりますが、ちょうど3か月ほど前に玩具の方の「爆丸」が10周年を迎えたこともあるので、久しぶりにがっつりと『爆丸バトルブローラーズ』について語りたいなと思ってこの記事を書くことにしました。

 

まずはこちらの公式サイトを見てください。

 

爆丸バトルブローラーズ』第1~3期ホームページ(あにてれ

www.tv-tokyo.co.jp

www.tv-tokyo.co.jp

www.tv-tokyo.co.jp

 

どうですか……この……熱い王道ホビーアニメ感……長森佳容さんによる少し硬質な、しかし生き生きとした力強いキャラクターデザイン、ごてごてだけどだからこそかっこいいモンスターのデザイン……かっこいい、最高ですわ……。

年代によって子供が好む絵柄も変わってきますし、最近のホビアニは柔らかめのキャラデザが流行っているなあと感じますが、私は長森さんのこういう硬めの絵も好きです。

 

日本では3シーズン放送されていることもあり、主人公のダン・ライバルで幼馴染のシュン・参謀のマルチョという3人の固定メンバーがシーズンを経る毎に身体的にも精神的にも確実に成長していくところが堪らないです。彼らの活躍を、成長を見ていたい、そう強く思わせてくれるキャラクター達が生き生きと活躍する姿は、いつ見てもグッとくるものがあります。

 

ストーリー展開も熱い王道もので、パートナー爆丸と絆を深め、力を合わせてライバル達や悪の組織と戦い、強くなり、世界を救う!そんなホビアニの王道を行くストーリーが勢いよく進んでいくので、ある意味とても安心して見られます。敵キャラが結構容赦なく死んだりもしますが……。

私は、アニメ・漫画問わず、1年以上同じキャラクターで続くような長期作品において重要なのは「このキャラの姿をもっと見たい!」と視聴者や読者が思えるかどうかだと思っているのですが、『爆丸バトルブローラーズ』はまさにそれなのです。キャラクターの成長を見守り、応援し、一緒に熱くなれる。そんなシリーズなのです。

 

ただ、一つ残念なのは……

 

このアニメ、第4期まで制作されているのに、4期が日本で放送されていないところなんですよね……

 

辛い……合法的な視聴手段なんてない……Wikipediaの英語版とか海外版公式サイトを読み込んで展開を知る以外の方法が特にない……もちろん全部英語……おかげで英語凄い苦手だったのにだんだん得意になった……。

数年前にファン側から4期の放送希望のネット署名なども行いまして、私も微力ながら署名したりはしましたが、テレビ放送どころかソフト化もネット配信もされていないのが現状なので辛いオブ辛い。日本で生まれたアニメの正統な続編なのに日本で放送されない。辛い。

 

いや見て?見てくださいこの画像。ダン・シュン・マルチョの1~4期の比較画像なんですけど。私が作ったんですけど。解像度低いのはごめんなさい。一番上から1~4期順番に並べたんですけど。この微妙だが確実な成長具合を見てくれ。

f:id:k_iruka417:20161013141633p:plain

凄い。流石大長森神。でも私はこの4期の彼らが動く姿を見る事が出来ない。なぜなら日本で放送されてないし、合法的な視聴手段もないから。

こんなにも4期が見たいのに。見たいと思っているのに。ただただ彼らの物語を、見る事が出来るところまで見たいだけなのに。

 

4期が見たい見たいと思い続けてもうすぐ5年になるんですかね。

正直もう半分諦めてますけど、それでもやっぱり諦めきれないです。

だって大好きなキャラクター達の成長した姿が見られてその上3期ですっきりしなかったところが4期ですっきりすると知ったらそりゃ4期見たくなるでしょう。

 

なぜ4期が日本で放送されず、3期で放送が終了したのか?ということについては、ちょっとだけ複雑な事情があります。

 

最初に説明するべきだった気がするのですが、爆丸はそもそも日本より欧米諸国でヒットした玩具なんですね。

爆丸」という玩具はそもそも日本の企業であるセガトイズと、カナダの企業であるスピンマスターが共同で開発したものになります。

で、日本と北米で同時に1期のアニメ放送されたはいいものの、日本での第1期放送開始時、日本では実際の玩具展開とのスケジュールが合わず、結果として北米の方でだけ大ヒットしました。

 

そして北米では1期放送終了から1年の間を置いて2期『ニューヴェストロイア』が放送開始され、順調に玩具を売り上げ、世界展開もしていったというわけです。それから日本は1年遅れて、日本での1期放送から2年の間を置いて2期が放送されました。

 

ただ、『ニューヴェストロイア』は日本からしてみれば2年前に放送されていたアニメの続編、という形になります。北米でも1期と2期の放送の間に1年間が開いているためか、『ニューヴェストロイア』は1期を見ずにいきなり見始めても大丈夫なようには作ってあります。それでも基本的に世界観もキャラクターも地続きなので、少しだけ新規層が参入しづらそうなところはあります。

 

そこで日本で日本の男児向けに展開されたのが、コロコロコミックで2010年に漫画版の連載が開始された『爆TECH! 爆丸』(2010年から2014年まで連載、全10巻)です。

 

『バトルブローラーズ』が爆丸をモチーフとしたファンタジーSF的なアニメになっているのに対し、『爆TECH!』ではファンタジー要素を交えつつも現実にかなり近い(※個人の感想です)競技としての爆丸が描かれています。『爆TECH!』も非常に面白いので、是非読んでいただきたいです。10巻しかないので新品でも全巻揃えるのに5kかかりません。大多数のソシャゲの10連ガシャよりちょっと高いくらいです。

 

で、過程は省略しますが、結果的に日本での爆丸の玩具展開は『爆TECH!』を中心としたものになっていきました。

そして、それが影響したからかどうかは分かりませんが、もしかしたら視聴率とか玩具の売り上げとかちょっと大きな声で言いづらい事情が関係していたのかもしれませんが、ぶっちゃけ関係してたんだろうなとは思いますが、結果的に日本での爆丸の展開は『爆TECH!』中心のものへと完全にシフトし、4期は放送することなく、3期で放送終了することになりました。

 

ちなみに3期の後番組はかの一部界隈で有名な『ズーブルズ!』です。

ズーブルズは爆丸の機構を女児向け玩具に応用したおもちゃで、爆丸同様にセガトイズとスピンマスターが共同開発しています。

www.tv-tokyo.co.jp

 

私ももういい年ですし、アニメ放送は決して慈善事業ではないということは分かっています。テレビアニメを作るのにもテレビで放送するのにも莫大なお金がかかるし、それを考えるとお金になる可能性が薄い4期が日本で放送されることはもうないんだろうな、とは思います。

でもそれはそれとして、やっぱり4期が見たいんです。だって、4期の映像は確実に完成しているんですよ?日本版音声のものも存在しているようなんです。ただ、日本で放送されていないだけなんです。それってなんだか、ファンとして悲しいし寂しいし、悔しいです。

 

来年4月で『バトルブローラーズ』10周年ですし、セガトイズさんが何かしてくれませんかね。おーいセガトイズーーーーー!おはリルーーーーーーーー!!『バトルブローラーズ』を4期も含めた全シリーズネット配信してーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

 

別に『バトルブローラーズ』の存在が忘れられているわけはないと思うんです。制作会社のトムス・エンタテインメントさんは2014年に杉並アニメーションミュージアムにて開催された企画展『トムス・エンタテインメント アニメと歩んだ50年展』で爆丸についての展示を用意してくれていましたし……台本とか実機とか設定資料とか……アンパンマン名探偵コナンルパン三世といった国民的作品に混じって……。トムス50周年だからネット配信してくれないかなとか思ってたら何もなかったですけど……。

 

ネット配信するためのお金が無いなら、今流行りのクラウドファウンディングで資金を募ってみてほしいとすら思います。お金なら出すよ……

 

そもそも日本で放送されたシリーズも現状では非常に視聴困難です。

1期から3期は一応1期と2期はセル・レンタル両方の円盤があって、3期はレンタル限定で円盤化されていますが、もう店頭に置いている店がほぼないです。セル版の円盤も高騰しているものが大多数。レンタル落ちはぎりぎりあったりする(小声)。

ネット配信もどこでもされていないので、身近に円盤を貸してくれる人がいない場合は、もうツタヤのネットレンタルサービス「ツタヤディスカス」でレンタルするか、もしくは国会図書館で館内視聴するくらいしか視聴手段がないです。

ちなみに国会図書館は18歳以上しか利用できないです。

 

ツタヤディスカス公式HP

movie-tsutaya.tsite.jp

 

国立国会図書館公式HP

国立国会図書館―National Diet Library

 

あにてれ公式HPを見て少しでも気になるキャラがいた人は是非ともツタヤディスカス国会図書館で『爆丸バトルブローラーズ』を見てください。

 

 

とりとめもなくつらつらと爆丸について書いてきましたが、あまり長くても良くないかと思うので、この辺りで終わりにしようと思います。

なおこの記事を書こうと思った最大の理由は、セガトイズさんかトムスさんがエゴサした時にこの記事がうっかり引っ掛かって『爆丸バトルブローラーズ』が好きな人間がまだここにいるということを知ってくれないかな、せめてネット配信の検討だけでもしてくれないかな、と思ったからです。SNSって便利ですね。

 

もちろん私は男児でも子供でもないので、爆丸の対象年齢ではありません。なので、爆丸がもう対象の子供達に向けて展開することはないからこれで終了する、と言われたら、もう何も言えません。

ただ私は、いい年になった今でも爆丸が好きだし、爆丸の公式にお金を払いたいと思っています。

スピンマスターがシリーズのリランチを計画している、という噂を以前海外サイトで見かけました。噂は噂ですが、爆丸がいつかまたおもちゃやさんの棚に戻って来ることを期待したいですし、そして4期をいつかきちんと見る事が出来ると信じたいと思っています。

玩具やアニメの対象年齢でもない私の意見に力があるとは正直思いませんが、もう応援する手段がほぼなくても、微力であっても爆丸を応援していきたいと、そう強く思っています。

 

爆丸バトルブローラーズ』を、どうかよろしくお願いします。

 

最後に、実機の爆丸とポップアウトした姿の写真でお別れです。ゲートカードはどこに保管しているのか思い出せなかったので、目の前にあった缶バッジでポップアウトさせました。こうして並べると3姉妹みたいで可愛いですね。フェニックス可愛い。一番好きな爆丸です。

f:id:k_iruka417:20161013141551j:plain

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。

【第十四幕ネタバレ有】スタミュ OVA第二巻先行上映会&スタッフトーク 東京20:30~レポまとめ

スタッフトークの内容を、聞きながら取ったメモと記憶を頼りにまとめました。途中でメモを取るのを諦めた部分や口調違い、曖昧な部分もありますので、他の方のレポなども参考にしてください。

トークの合間合間でのスタッフさん同士の会話も仲の良さが伝わってきてほっこりしたり笑わせていただいたりしたので、その辺りも可能な限りレポしています。

なお、このレポは第十四幕のネタバレを含むのでご注意ください。ネタバレ無バージョンはこちら

k-iruka417.hatenablog.com

 

登壇されたスタッフさんは以下、このように表記していきます。

 

監督・多田俊介さん:監督

シリーズ構成・ハラダサヤカさん:ハラダさん

作詞家・くまのきよみさん:くまのさん

総合プロデューサー・杉本美佳さん:杉本P

トークショー司会&音楽プロデューサー・藤平直孝さん:藤平P

 

第十三幕・十四幕終了後、まず藤平Pが登壇。藤平Pの紹介で、他の四人も登壇。監督とくまのさんはイベント公式グッズの星のペンライトを持っていました。

 

OVA本編・新作ミュージッククリップについての話

 

監督「『また来年』で終わった一期の締めくくりとしてのOVA。華桜会の卒業まで描くことで、十三幕・十四幕で一区切りすることが出来たので、そこで満足できるような内容にした。二期は更にそこから先を描いて行くことになります」

 

ハラダさん「一期の段階で描きたかった事、やり残したことは全て描けました。『スタミュ』の裏テーマである先輩後輩の縦の繋がりもじっくり描けた。(OVA制作段階では二期が決まっていなかったので)これが最後のチャンスかもしれないという気持ちで書いた。その割に本編だけでは分からない(第一期五巻特典ブックレット、鳳・柊対談で名前が登場している)魚住先輩の名前が出たりしていますが、魚住先輩はこの先の可能性の一つとして描きました。登場させることが出来て嬉しかったです」

 

くまのさん「十三幕は新曲だらけ。OVAのEDはチーム違いで替え歌にして、大切な先輩を送り出す歌として先輩を思う歌にしました。皆さんには感謝の思いでいっぱい。OPをどうするか考えた時、スタミュのキャラクターを見て、それぞれのキャラクターにカラーがあって、色んな色が散りばめられてスタミュが出来ているんだと考えた時にサビの『夢はナニ・イロ』が浮かんだ。『フィナーレは僕たちの胸に』は、初めから暁からスタートして次に鳳、という指示があって大変だった(テレビアニメ一期だとそのような指示はなかったので)。一期の時も、ミュージカルパートで『ここを使うんだ』『ここでサティ…⁈』と驚いた」

監督「『SATISFY』は『スタミュ』に番組として爆発力が欲しかったので、二番の歌詞をあそこに持って来ました」

くまのさん「Tシャツにもなりましたもんね!」

(場内拍手)

藤平P「ここで拍手起きるんですね……⁈」

 

監督「『SING A SONG! MUSICAL!』は、ディズニーランドの夜のショーのように、夜に校舎の前で皆の前で踊っているという設定で作りました。黒い燕尾服という衣装は、最上級生としてのアダルトさが出ればいいなと思ってああなりました」

 

 

OVA第二巻特典について

ブックレット特典の対談企画について

ハラダさん「星谷・那雪・ゆうき・つむぎ対談は、ゆうきとつむぎの、team鳳のそれぞれのメンバーの印象なんかのガールズトークに、男二人が翻弄されている感じです。

海斗・遥斗・辰己・申渡対談は、とってもとっても月皇がやり辛そう。お兄さんと他二人は好き勝手やってます。海斗・辰己・申渡の三人は付き合いが長くて気心も知れている者同士なので、三人同士の会話は書いていて楽しいです。辰己・申渡から遥斗に孫弟子目線の質問をぐいぐいしたりもします。今まで聞かれなかったような情報も出せました」

特典ドラマCDについて

ハラダさん「すごく楽しかったです」

in 漣家について

ハラダさん「漣家の道場・家庭事情を描いています。鳳が凄い手土産を持って行く。バカやってる高校生の華桜会を描けました」

in 空港について

ハラダさん「第十一幕でteam鳳が出掛けた遥斗の主演ミュージカルのパンフ撮影の実習の際、遥斗が星谷以外のteam鳳のメンバーとどんな話をしたのか、ということがドラマCDやブックレットで出ます。月皇もびっくりな会話がありました」

 

おすすめの台詞は?という質問に

ハラダさん「in 漣家だと、貴重な鳳のツッコミ『まだあるの?』という台詞。俺が突っ込まざるを得なかった、という感じです。諏訪部さんの芝居もあっていい感じ。

in 空港は、二回目の『海斗』ですね。役者としての先輩ではなく、本当の兄としての『海斗』が聞けます」

藤平P「発売前で会場の方誰もドラマCD聞いてないのにピンポイントすぎますね」

杉本P「そうですよね、もっと大まかに語れと」

質問コーナー

(このコーナーについては可能な限り解答元も明記していきます)

藤平P「言えないことはノーと言います!僕笑わせに行きますからね!」

杉本P「なんでハードル上げるの?」

Q.天花寺は私服が和装のイメージが強いですが、パンツもふんどしですか。

A.監督「キャラクターデザインという作業は、目に見える表面的な部分だけでなく体のデッサンやラフ画なんかも描くのですが、デッサンにふんどしを描いている人はいませんでした」

杉本P「そんなラフ画回って来た事はないですね」

結論:天花寺はふんどしではない

Q.星谷君は憧れの人にいつ気付くんですか?気付けるんですか?

A.監督「スタミュの方向性を決める重要な質問ですね。スタミュは出したネタは全て拾っていくという稀有なアニメらしいですが、星谷も……」

 ハラダさん「一話のあのアバンを作ったからには気付かせたいですね」

 監督「多分どっかで気付く。二期なのか三期なのか四期なのか五期なのか分かりませんが……」

 杉本P「三期まだ決まってませんからね⁈」

 藤平P「『三期は』ということは四期は……⁈」

 (会場ここで拍手)

Q.第十三幕で星谷・那雪のメガネが似ていたのには何か理由があるんでしょうか?二人で買い物にいったとかでしょうか?

A.あれは天花寺のメガネのストック。二人が掛けていたから天花寺はメガネを掛けていなかった。同じ人のメガネだからデザインが似ていた。

 藤平P「天花寺メガネ何十本も持ってそう……」

 ハラダさん「でも星谷と那雪は一緒に買い物はよくすると思います」 

Q.月皇君のパトロンになる方法を教えてください

 杉本P「いろんな人がいますねえ……」

 藤平P「(結婚したい人とかもいますよね、という話になり)我々は結婚相談所じゃないですからね!」

A.パトロンとかは月皇は嫌がりそう。プロになった時に一番のファンになるのが、彼にとってのパトロン。公演が決まったら何回も通うとか。出待ちとかお金を渡されたりとかは嫌がると思う。

 その中で遥斗は月皇家に稼いだお金を入れているのか?という話に。月皇家はお金があるので多分入れてない。その流れで何故か空閑家にお金を入れる遥斗の話になる。

 ハラダさん「遥斗からのお金めっちゃ怖い」「裏がありそう」(これはハラダさんではなかったかも……)

 もちろん空閑は、遥斗からお金を渡されても受け取らない。

Q.ハラダさんがTwitterでツイートしていた「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の詳細を教えてください。

杉本P「監督とハラダさんにTwitterを始めていただいたのは、『スタミュ』をなんとかして広めるため。二人ともTwitter見もしないしやれもしないのに、初めていただきました」

初めの頃は(今でも?)ツイートのやり方を杉本Pにいちいち確認していたそうです。可愛い。

 

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」が生まれたのは、札幌の上映会・スタッフトークのために北海道に行った時、回転寿司で打ち合わせなどをしていた時に「天花寺・空閑・回転寿司」の組み合わせがなんだか楽しくなってしまった生まれた妄想。

 (この時、監督か杉本Pがこれから二期の本格的な作業が始まって監督や作画担当が痩せていく……と仰っていました)

 

 以下、「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の概要。

空閑が天花寺を回転寿司に連れて行き、天花寺に全皿制覇させて自分は天花寺が注文した分のうち一貫を自分で食べる。「天花寺、この皿の色知ってるか?」とか言う。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」は、「in 空閑家」のような空閑なりの茶目っ気。天花寺は小銭をじゃらじゃら持ち歩いたりしないので、ジャンプすると服の中からブラックカードがバラバラーっといっぱい出て来る。そして天花寺は空閑にたかられているとも気付かず、空閑にいいものを食べさせている。

 空閑からの誘い文句は「天花寺、(バイクの)後ろに乗せてやる」「ダチを後ろに乗せるのは初めてだ」。天花寺は「ダチ」と言われると弱い。

 星谷・那雪は天花寺がたかられていることに気付いてハラハラしているし、虎石は遠くから見ながら「梨園の貴公子にたかるなんてマジウケる~ww」と爆笑しているし、申渡は「大丈夫なんでしょうか……」と心配している。

Q.戌峰は両親からワンワン軒を継ぐよう言われたらどうしますか?

A.ハラダさん「むしろ両親が継がせません。どうかミュージカル俳優になってください!という感じ」

 戌峰の両親はワンワン軒の「オーナー」で、本場の中国の方を料理人として雇っている。

Q.卯川は寝る時どんな服装ですか?

A.監督「描いたことはないんですけど、僕からオーダーするなら普通にボタンのパジャマにします」

寮はトイレ・風呂・洗濯共用なので、夜の寮の廊下でパジャマにスリッパの可愛い卯川が見られるかもしれない。(実際に描けるかどうかは分からない、とのこと)

Q.虎石はなぜ男友達が多いのでしょうか?男に嫌われるタイプなのでは?

藤平P「虎石は男から見てもいいやつですよ!」

監督(?)「虎石は男には嫌われませんね」

もちろん彼女を取られたとかになったら話は別。

ハラダさん「スタミュは各キャラクター毎での関係性をきちんと決めているんですが、星谷・虎石は各チームの外交役のようなもので、チームメイト・友達で接し方の線引きをしていません」

Q.鳳と柊が双子ということを知っている人はいますか?

A.現役生の中では誰も知らない。第九幕の回想時点だと、二人からしても言って回りたいことでもなかった。

二人きりの時でも基本的に苗字で呼び合う。そっちで慣れてしまった。

Q.一年生の鳳はローファーを履いていますが、三年の鳳は紐の革靴を履いています。この違いは何でしょうか?華桜会ドレスコードのようなものですか?

(なんて細かいことに気付くんだ、とスタッフ場内騒然)

A.ドレスコードと言うより、自分を主張できる立場になったということの現れ。見れば分かる通り華桜会ドレスコードは無い。

この時、楪の格好がだいぶ奇抜、と言う話になり、

 

監督「楪は、鳳や柊や漣が男らしいスタンダードなカッコよさだったので、そうじゃないカッコよさを狙って、キャラクターデザインの渡邊さんに『とりあえず高見沢で』とオーダーしました」

 

高見沢で、と監督が言った時場内大爆笑でしたが皆納得している様子でした。

Q.華桜会の五人が同じ舞台に立つ事はあるのか?

A.監督「『SING A SONG! MUSICAL!』のミュージカルクリップがそう。『SING A SONG! MUSICAL!』ではあえてお客さんを映していません」

ここから、演出についての話になりました。

「『SING A SONG! MUSICAL!』の演出はライティングに非常に拘りました。ライティングに拘ったのは第十二幕の『星瞬COUNTDOWN』もそう。雨粒とライトの組み合わせに拘っていて、あの場面のキラキラは、雨粒にライトが反射したお客さん目線の輝きなんです。ライティングの表現は非常に難しいのですが、表現のために作画には拘っています」

Q.監督に質問です。ミュージカルパートの超演出はどうやって考えていますか?

A.監督「(超演出とは言われるが)普通にナチュラルに、カッコいいと思ってやってる。第一幕の『我ら、綾薙学園華桜会』のコンテを切った時、『これはアイドルがステージに立って踊るのとは違う、ミュージカルなんだ』『劇的なものなんだ』『内面を表す映像が必要なんだ』ということをスタッフに伝えたところ、他のミュージカルパート担当の演出達も全員放っておいてもいわゆる超演出をやり始めました」

この時監督から、華桜会のご登校を出迎えているのは二年生だという話が出ました。

 

ここで時間が押しているという事で一回プレゼント抽選タイムを挟みました。

抽選タイム終了後、少し時間もいい具合に残ったという事で質問をもう一つ。

Q.「SING A SONG! MUSICAL!」と「我ら、綾薙学園華桜会」の振付が似ているのはなぜでしょう?

A.藤平P「振付師の方がこの場にいないので、答えられる範囲で答えていきます。振付の発注はいつも僕からしていて、『SING A SONG! MUSICAL!』の振付を発注する際も、『華桜会と言うブランドを表現する上で、似ている振付や彼らにしか出来ない事を入れるといいのではないかと』とオーダーしました」

監督「上がって来たダンサーさんによる実写の動画は必ず本編サイズ全部のダンスが収録されていますが、どこを使うかは演出が組み立てて決めています。必要な演出のために何度か角度を変えて撮影し直すこともあります」

ダンサーさんは動画の最初に必ず担当するキャラの名前を『鳳でーす』『暁でーす』とか言うらしい。藤平Pいわく、この時の監督のダンサーさんの物真似が似ていたらしい。いつも同じダンサーさんが同じキャラを担当している。

桜会ダンスには指先まで拘っていて、揃っているように見えて実はバラバラだったりするので、発売後は一時停止もしたりしてじっくり見てほしい、とのこと。

最後の挨拶

最後にそれぞれから〆の挨拶。確実にこれは言ってた、というところだけ。

この段階でかなりメモ取る力が尽きてたので、他の方のレポも参考にしてください。

 

監督「熱心に応援していただけるファンの皆さんとこうして交流できる場は我々にとっても楽しみ。仕事とは思ってないですからね!二期でもこういうことが出来るよう、応援していただけたらと思います」

ハラダさん「現在二期のシナリオで佳境に近い事をしている時期で、特に鳳と遥斗の話をしていると込み上げて来るものがあります。鳳に何を言わせるかで半分くらい頭がいっぱい。今情緒不安定になってやっていることが来年形になっているので、楽しみにしていてください」

くまのさん「皆さんの全部見終わった後の溜息のような声を聞いて、ぐっとくるものがありました。実りある二巻になったと思います。二期でも是非(藤平Pの方を見ながら)、ハニトラやキラメキラキラ☆みたいな楽しいのをやらせてもらったらいいなと思ってます」

杉本P「『最後のアレ』で感無量になりました。皆さんと共有できて幸せです。(この後、皆さんの中でスタミュが何かをお届けできるものになれば、と言っていました。曖昧で申し訳ないです)」

藤平P「沢山の楽曲を生み出させていただきました。是非、音楽も楽しんでほしいです。フルバージョンも含めてのミュージカルソングなので、是非フルでも聞いてください。僕達の五人でチーム多田・華桜会のようなもの。僕達の後ろに本当に沢山のスタッフたちがいます。僕らが止まったら全体が止まってしまう。絶対最後まで走り続けるので、応援していただければと思います」

 

 この挨拶でトークショーは終了。

 上映会、そしてトークショーと、スタッフの皆さんの愛と熱がたくさん感じられました。制作陣がスタミュの事を沢山愛してくれていることが伝わるから、スタミュと言うコンテンツは温かいと感じる事が出来るのかな、と思いました。

拙いレポでしたが、ここまでありがとうございました。

【第十四幕ネタバレ無】スタミュ OVA第二巻先行上映会&スタッフトーク 東京20:30~レポまとめ

スタッフトークの内容を、聞きながら取ったメモと記憶を頼りにまとめました。途中でメモを取るのを諦めた部分や口調違い、曖昧な部分もありますので、他の方のレポなども参考にしてください。

トークの合間合間でのスタッフさん同士の会話も仲の良さが伝わってきてほっこりしたり笑わせていただいたりしたので、その辺りも可能な限りレポしています。

なお、こちらの記事はネタバレ無バージョンです。第十四幕のネタバレになるような話を避けるため、質問コーナーの内容を中心に載せています(質問コーナーのネタバレ箇所も避けています)。

ネタバレ有バージョンは別途載せています。

 

登壇されたスタッフさんは以下、このように表記していきます。

 

監督・多田俊介さん:監督

シリーズ構成・ハラダサヤカさん:ハラダさん

作詞家・くまのきよみさん:くまのさん

総合プロデューサー・杉本美佳さん:杉本P

トークショー司会&音楽プロデューサー・藤平直孝さん:藤平P

 

第十三幕・十四幕終了後、藤平Pが登壇。藤平Pの紹介で、他の四人も登壇。監督とくまのさんはイベント公式グッズの星のペンライトを持っていました。

 

OVA本編についての話。

監督「『また来年』で終わった一期の締めくくりとしてのOVA。華桜会の卒業まで描くことで、十三幕・十四幕で一区切りすることが出来たので、そこで満足できるような内容にした。二期は更にそこから先を描いて行くことになります」

ハラダさんのコメントはネタバレを含むので割愛。

 くまのさん「十三幕は新曲だらけ。OVAのEDはチーム違いで替え歌にして、大切な先輩を送り出す歌として先輩を思う歌にしました。皆さんには感謝の思いでいっぱい。OPをどうするか考えた時、スタミュのキャラクターを見て、それぞれのキャラクターにカラーがあって、色んな色が散りばめられてスタミュが出来ているんだと考えた時にサビの『夢はナニ・イロ』が浮かんだ。『フィナーレは僕たちの胸に』は、初めから暁からスタートして次に鳳、という指示があって大変だった(テレビアニメ一期だとそのような指示はなかったので)。一期の時も、ミュージカルパートで『ここを使うんだ』『ここでサティ…⁈』と驚いた」

監督「『SATISFY』は『スタミュ』に番組として爆発力が欲しかったので、二番の歌詞をあそこに持って来ました」

くまのさん「Tシャツにもなりましたもんね!」

(場内拍手)

藤平P「ここで拍手起きるんですね……⁈」

 

OVA第二巻特典について

ブックレット特典の対談企画について

ハラダさん「星谷・那雪・ゆうき・つむぎ対談は、ゆうきとつむぎの、team鳳のそれぞれのメンバーの印象なんかのガールズトークに、男二人が翻弄されている感じです。

海斗・遥斗・辰己・申渡対談は、とってもとっても月皇がやり辛そう。お兄さんと他二人は好き勝手やってます。海斗・辰己・申渡の三人は付き合いが長くて気心も知れている者同士なので、三人同士の会話は書いていて楽しいです。辰己・申渡から遥斗に孫弟子目線の質問をぐいぐいしたりもします。今まで聞かれなかったような情報も出せました」

 

特典ドラマCDについて

ハラダさん「すごく楽しかったです」

 

in 漣家について

ハラダさん「漣家の道場・家庭事情を描いています。鳳が凄い手土産を持って行く。バカやってる高校生の華桜会を描けました」

in 空港について

ハラダさん「第十一幕でteam鳳が出掛けた遥斗の主演ミュージカルのパンフ撮影の実習の際、遥斗が星谷以外のteam鳳のメンバーとどんな話をしたのか、ということがドラマCDやブックレットで出ます。月皇もびっくりな会話がありました」

 

おすすめの台詞は?という質問に

ハラダさん「in 漣家だと、貴重な鳳のツッコミ『まだあるの?』という台詞。俺が突っ込まざるを得なかった、という感じです。諏訪部さんの芝居もあっていい感じ。

in 空港は、二回目の『海斗』ですね。役者としての先輩ではなく、本当の兄としての『海斗』が聞けます」

藤平P「発売前で会場の方誰もドラマCD聞いてないのにピンポイントすぎますね」

杉本P「そうですよね、もっと大まかに語れと」

質問コーナー

(このコーナーについては可能な限り解答元も明記していきます)

藤平P「言えないことはノーと言います!僕笑わせに行きますからね!」

杉本P「なんでハードル上げるの?」

Q.天花寺は私服が和装のイメージが強いですが、パンツもふんどしですか。

A.監督「キャラクターデザインという作業は、目に見える表面的な部分だけでなく体のデッサンやラフ画なんかも描くのですが、デッサンにふんどしを描いている人はいませんでした」

杉本P「そんなラフ画回って来た事はないですね」

結論:天花寺はふんどしではない

 Q.星谷君は憧れの人にいつ気付くんですか?気付けるんですか?

A.監督「スタミュの方向性を決める重要な質問ですね。スタミュは出したネタは全て拾っていくという稀有なアニメらしいですが、星谷も……」

 ハラダさん「一話のあのアバンを作ったからには気付かせたいですね」

 監督「多分どっかで気付く。二期なのか三期なのか四期なのか五期なのか分かりまんが……」

 杉本P「三期まだ決まってませんからね⁈」

 藤平P「『三期は』ということは四期は……⁈」

 (会場ここで拍手)

Q.第十三幕で星谷・那雪のメガネが似ていたのには何か理由があるんでしょうか?二人で買い物にいったとかでしょうか?

A.あれは天花寺のメガネのストック。二人が掛けていたから天花寺はメガネを掛けていなかった。同じ人のメガネだからデザインが似ていた。

 藤平P「天花寺メガネ何十本も持ってそう……」

 ハラダさん「でも星谷と那雪は一緒に買い物はよくすると思います」

 結論:あれは天花寺のストックメガネ。

Q.月皇君のパトロンになる方法を教えてください

 杉本P「いろんな人がいますねえ……」

 藤平P「(結婚したい人とかもいますよね、という話になり)我々は結婚相談所じゃないですからね!」

A.パトロンとかは月皇は嫌がりそう。プロになった時に一番のファンになるのが、彼にとってのパトロン。公演が決まったら何回も通うとか。出待ちとかお金を渡されたりとかは嫌がると思う。

 その中で遥斗は月皇家に稼いだお金を入れているのか?という話に。月皇家はお金があるので多分入れてない。その流れで何故か空閑家にお金を入れる遥斗の話になる。

 ハラダさん「遥斗からのお金めっちゃ怖い」「裏がありそう」(これはハラダさんではなかったかも……)

 もちろん空閑は、遥斗からお金を渡されても受け取らない。

Q.ハラダさんがTwitterでツイートしていた「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の詳細を教えてください。

杉本P「監督とハラダさんにTwitterを始めていただいたのは、『スタミュ』をなんとかして広めるため。二人ともTwitter見もしないしやれもしないのに、初めていただきました」

初めの頃は(今でも?)ツイートのやり方を杉本Pにいちいち確認していたそうです。可愛い。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」が生まれたのは、札幌の上映会・スタッフトークのために北海道に行った時、回転寿司で打ち合わせなどをしていた時に「天花寺・空閑・回転寿司」の組み合わせがなんだか楽しくなってしまった生まれた妄想。

(この時、監督か杉本Pがこれから二期の本格的な作業が始まって監督や作画担当が痩せていく……と仰っていました)

 

空閑が天花寺を回転寿司に連れて行き、天花寺に皿制覇させて自分は天花寺が注文した分のうち一貫を自分で食べる。「天花寺、この皿の色知ってるか?」とか言う。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」は、「in 空閑家」のような空閑なりの茶目っ気。天花寺は小銭をじゃらじゃら持ち歩いたりしないので、ジャンプすると服の中からブラックカードがバラバラーっといっぱい出て来る。そして天花寺は空閑にたかられているとも気付かず、空閑にいいものを食べさせている。

 空閑からの誘い文句は「天花寺、(バイクの)後ろに乗せてやる」「ダチを後ろに乗せるのは初めてだ」。天花寺は「ダチ」と言われると弱い。

 星谷・那雪は天花寺がたかられていることに気付いてハラハラしているし、虎石は遠くから見ながら「梨園の貴公子にたかるなんてマジウケる~ww」と爆笑しているし、申渡は「大丈夫なんでしょうか……」と心配している。

Q.戌峰は両親からワンワン軒を継ぐよう言われたらどうしますか?

A.ハラダさん「むしろ両親が継がせません。どうかミュージカル俳優になってください!という感じ」

 戌峰の両親はワンワン軒の「オーナー」で、本場の中国の方を料理人として雇っている。

Q.卯川は寝る時どんな服装ですか?

A.監督「描いたことはないんですけど、僕からオーダーするなら普通にボタンのパジャマにします」

寮はトイレ・風呂・洗濯共用なので、夜の寮の廊下でパジャマにスリッパの可愛い卯川が見られるかもしれない。(実際に描けるかどうかは分からない、とのこと)

Q.虎石はなぜ男友達が多いのでしょうか?男に嫌われるタイプなのでは?

A.藤平P「虎石は男から見てもいいやつですよ!」

監督(?)「虎石は男には嫌われませんね」

もちろん彼女を取られたとかになったら話は別。

ハラダさん「スタミュは各キャラクター毎での関係性をきちんと決めているんですが、星谷・虎石は各チームの外交役のようなもので、チームメイト・友達で接し方の線引きをしていません」

Q.鳳と柊が双子ということを知っている人はいますか?

A.現役生の中では誰も知らない。第九幕の回想時点だと、二人からしても言って回りたいことでもなかった。

二人きりの時でも基本的に苗字で呼び合う。そっちで慣れてしまった。

Q.一年生の鳳はローファーを履いていますが、三年の鳳は紐の革靴を履いています。この違いは何でしょうか?華桜会のドレスコートのようなものですか?

(なんて細かいことに気付くんだ、とスタッフも場内も騒然)

A.ドレスコードと言うより、自分を主張できる立場になったということの現れ。見れば分かる通り華桜会ドレスコードは無い。

この時、楪の格好がだいぶ奇抜、と言う話になり、

 

監督「楪は、鳳や柊や漣が男らしいスタンダードなカッコよさだったので、そうじゃないカッコよさを狙って、キャラクターデザインの渡邊さんに『とりあえず高見沢で』とオーダーしました」

 

高見沢で、と監督が言った時場内大爆笑でしたが皆納得している様子でした。

Q.監督に質問です。ミュージカルパートの超演出はどうやって考えていますか?

A.監督「(超演出とは言われるが)普通にナチュラルに、カッコいいと思ってやってる。第一幕の『我ら、綾薙学園華桜会』のコンテを切った時、『これはアイドルがステージに立って踊るのとは違う、ミュージカルなんだ』『劇的なものなんだ』『内面を表す映像が必要なんだ』ということをスタッフに伝えたところ、他のミュージカルパート担当の演出達も全員放っておいてもいわゆる超演出をやり始めました」

この時監督から、華桜会のご登校を出迎えているのは二年生だという話が出ました。

 最後の挨拶

最後にそれぞれから挨拶。確実にこれは言ってた、というところだけ。

この段階でかなりメモ取る力が尽きてたので、他の方のレポも参考にしてください。

 

監督「熱心に応援していただけるファンの皆さんとこうして交流できる場は我々にとっても楽しみ。仕事とは思ってないですからね!二期でもこういうことが出来るよう、応援していただけたらと思います」

 

ハラダさん「現在二期のシナリオで佳境に近い事をしている時期で、特に鳳と遥斗の話をしていると込み上げて来るものがあります。鳳に何を言わせるかで半分くらい頭がいっぱい。今情緒不安定になってやっていることが来年形になっているので、楽しみにしていてください」

 

くまのさん「皆さんの全部見終わった後の溜息のような声を聞いて、ぐっとくるものがありました。実りある二巻になったと思います。二期でも是非(藤平Pの方を見ながら)、ハニトラやキラメキラキラ☆みたいな楽しいのをやらせてもらったらいいなと思ってます」

 

杉本Pのコメントはややネタバレ含むので割愛。

 

藤平P「沢山の楽曲を生み出させていただきました。是非、音楽も楽しんでほしいです。フルバージョンも含めてのミュージカルソングなので、是非フルでも聞いてください。僕達の五人でチーム多田・華桜会のようなもの。僕達の後ろに本当に沢山のスタッフたちがいます。僕らが止まったら全体が止まってしまう。絶対最後まで走り続けるので、応援していただければと思います」

 

 この挨拶でトークショーは終了。

 上映会、そしてトークショーと、スタッフの皆さんの愛と熱がたくさん感じられました。制作陣がスタミュの事を沢山愛してくれていることが伝わるから、スタミュと言うコンテンツは温かいと感じる事が出来るのかな、と思いました。

拙いレポでしたが、ありがとうございました。

『キンプリ』の話・第三部「映画館で見る映画」としての『キンプリ』、まとめ

 第三部です。映画としての『キンプリ』の話をします。

そしてこの記事は第三部なので、先に第一部と第二部を読んだ方が分かりやすいと思います。「カテゴリー」の「『キンプリ』の話」のところからどうぞ。

 

 恐らく「応援上映」という上映形態については各所で語り尽くされている気がしますし、私も以前Privatter上に応援上映のレポートついでにそんな感じの話をしました。なので今回はそちらの文章の一部サルベージになります。

 ちなみに元の文章はこちらになります。Privatterに掲載していますが全体公開設定にしているのでどなたでもご覧いただけます。

privatter.net

  応援上映の概要や実際の空気感についてはだいたいこちらに書いてあるので、先に読んでいただいた方がいいかもしれません。

 また、応援上映の公式PVもこちらに貼っておきます。

www.youtube.com

アトラクションとしての映画、アトラクションとしての『キンプリ』

ascii.jp

  このインタビュー記事で西さんが語っているように、「応援上映会」は『プリティーリズム』の最初の劇場版『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』から『プリパラ』の映画までずっと続けられている催しです。

 

「映画」と「アトラクション」という言葉がすぐに結びつく人がどれくらいいるのかは分かりませんが、映画館のアトラクション化はどんどん進んでいます。例えば、もうすっかり当たり前になった3D上映、映画に合わせて客席が動いたりするMX4D、超大画面と迫力の音響で映画を楽しむことが出来るIMAX ……映画のスペクタクル化が進んでいることもあって、映画館に行けばアトラクション感覚で映画を楽しむことが出来る時代なわけです。

 しかし、そう言ったアトラクション上映であっても基本的に観客は静かにしているのがルールです。笑い声が起こることはあるでしょう、けれど上映中に声を出してキャラクターを応援したり、ましてやサイリウムを振るなどご法度です。

 そして応援上映に最も近い形態の上映形式が、上映中に叫んでOKの「絶叫上映」です。応援上映の先祖として西さんが挙げており、アニメ映画や一部実写映画にて、一部上映館で実施されることがあります。しかしそれでも、『プリティーリズム』『プリパラ』『キンプリ』のように、多くの上映館で応援上映を行う映画はほとんどありません。

 

『キンプリ』は、『プリティーリズム』からの伝統に則り、更にとても応援上映向きである映画です。なぜなら、菱田監督たちがそのように映画を作ったからです。初めからアトラクションとしても作られている映画なのです。

 そして応援上映の凄い所は、普通のシアターでアトラクション上映ができるというところです。3D上映も、MX4Dも、IMAXも、それ専用のシアターでないと上映できません。ところが『キンプリ』の場合は基本的に2D上映しかありません。特別な音響設備を持っている劇場は音響のレベルを上げて上映することもありますが、『キンプリ』の場合は基本的に2Dデジタル上映が出来る設備を持っている映画館でならどこででも上映出来て、どこででも応援上映が出来るのです。今日び新作を公開するような映画館は必ず2Dデジタル上映が出来る設備を整えています。

 つまり、応援上映というアトラクション上映を行うために必要な特別な設備はないのです。「どこの劇場であっても楽しく、新しい感覚で映画を楽しむことが出来る」……これが応援上映の最大の強みなのではないでしょうか。

 そして実際に応援上映は大きな話題となり、めざましテレビ等のテレビ番組で取り上げられるまでになりました。

「応援上映」も「絶叫上映」も、「映画館で見る映画は静かにみるもの」という固定概念を覆す上映形態です。「絶叫上映」はネット上では話題になりますがテレビではほとんど取り上げられることはありません。しかし今回『キンプリ』によって「応援上映」が大きく取り上げられることになったのは、「応援上映」が特殊な設備を必要とせず、どんな映画館であっても開催可能な上映形態だからではないでしょうか。

 

 とは言え正直なところ、どうして上映2ヶ月目3ヵ月目になった辺りで「応援上映」がこんなに話題になったのか私には分かりません。物珍しさか、はたまた他の何かか。しかしTwitter上を初めとした口コミで「応援上映」が話題になり、動員数が公開3週目で急激に増え、反響を受けて初め3週間限定の予定だった上映期間が延長し、ここぞとばかりに公式側が応援上映のPVを作り……と、応援上映の話題性に上手く乗っかった公式側のプロモーション上手も一因な気がします。

 渋谷のスクランブル交差点の街頭ビジョンで応援上映のCMが流れたのも話題になりましたね。私は感動で足が震えて倒れそうになりました。

 

 映画館は最近、人を呼び込めないという事で悩んでいます。そんな中で『キンプリ』は、特別な設備がなくても開催可能な特別な上映形態「応援上映」の可能性を世間に知らしめたという意味で日本の映画界になかなか意義深いことをしてのけたのではないでしょうか。

 そこまで大仰な話でなくても、「応援上映」の活況をみた映画業界の人が、映画館に人を呼ぶためのヒントを何か掴むことが出来たらいいなと、映画館で映画を見るのが好きな人間としては思います。

結局『キンプリ』とは「何」なのか

 まず初めにこちらの動画をご覧ください。

www.nicovideo.jp

  これは『キンプリ』公開前である2015年12月23日に菱田監督、一条シン役の寺島淳太さん、涼野ユウ役の内田雄馬さんが出演したニコ生にて菱田監督がずっと応援して来たファン――プリズムエリート達に向けて読み上げた「手紙」です。

 

 第一部、第二部にて『キンプリ』がどういう状況の中で生まれた作品なのかはお話ししました。スタッフ全員が背水の陣で挑んだ『キンプリ』。プリズムエリート達はその思いを受け取り、SNSで必死になって発信し続けました。「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、と。

『キンプリ』のヒットの要因として、よく「ファンの口コミ」「熱心な布教活動」が挙げられますが、これは本当にその通りだと思います。上映初日、学校行事で初日に見に行けなかった私がTL上で散見した「やばい」「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、そして「もう一回見なきゃ……」の言葉の数々。制作に携わったスタッフの方がそういった感想を見て思わず「何かとんでもないものを作ってしまったのでは」とツイートしてしまうほどのエリート達の反応。何かとんでもない事が起きているな、と思いました。

 

 そして『キンプリ』は、作り手、そして元からのファン達の想像を遥かに超えるヒットを記録しました。つい先日発売されたサウンドトラック。6月にDVD・Blu-rayの発売も決定。4月27日に発表された、興行収入5.3億円という数字。動員数は30万人突破、様々なグッズメーカーが『キンプリ』グッズの企画・発売を発表し、コラボショップやコラボカフェといったイベントも続々発表・開催されます。

 更に9月11日には東京国際フォーラムホールCにてイベント発表。内容はホールCのキャパいっぱい1500人による『キンプリ』応援上映と、Over the Rainbowのキャストである柿原徹也さん、前野智昭さん、増田俊樹さんの3人によるトークショー。『キンプリ』の舞台挨拶やイベントは、スタッフなら菱田監督やプロデューサーの西さん依田さん、キャラクターデザインの松浦さん、キャストはシン役寺島さんを初めとした新世代キャラクターのキャストが中心。『レインボーライブ』の頃からOver the Rainbowだった柿原さんたちは、ホームページ上や劇場パンフに掲載されるコメントはあれどイベントには登壇していませんでした。それがいよいよ、『キンプリ』のために用意された場でOver the Rainbowの3人が揃うわけです。

 初めから予定されていたわけでは無い展開が、プリズムエリート達が劇場に何度も足を運んで払ったお金から生み出されています。それもちゃんと、エリート達の思いに応える形で。貰った愛を愛で返すような形で。

 

 私は昨年になってから『レインボーライブ』を見たという、『プリティーリズム』を好きな方たちの中ではまだまだ新参です。正直プリズムエリートと名乗ることすらおこがましいです。でもこれが泣かずにいられるかという話です。現に今書きながら泣いてます。多分iTunesがGet music! とドラマチックLOVEを連続で流したせいだと思います。まさしく最高最強の気分です。

 きっと、『プリティーリズム・オーロラドリーム』の頃から『プリティーリズム』を応援して来た方々からすればこの感動は私などの比ではないのでしょう。

 

『キンプリ』は「キッズ向けコンテンツ原作もの」としても「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としても前例がない事をやってのけてしまいました。ミニシアター枠から始まって5月に入ろうとする今なお上映館数を伸ばし続け、3ヵ月以上に渡るロングランや上映37日目にして最高動員数を記録するというのも、映画として見てもとんでもない作品です。

 

 そして少しずつ、『キンプリ』を見た多くの人が待ち望んでいるであろう「続編」への光が見え始めていることが、監督達の各種媒体でのコメントからも伝わってきます。私も今から続きを見たくて堪りません。

 8月・12月には『レインボーライブ』のBlu-rayボックスの発売も予定されています。

 

 今改めてOver The Rainbowの「athletic core」を聞いてみると、その歌詞がまさしく『キンプリ』にかけた菱田監督達の思い、そして『キンプリ』が上映開始後に立ち向かった苦境、エリート達の力と共にそれを乗り越えていく様のように見えます。「athletic core」の初出は『レインボーライブ』最終話なので、この時点で『キンプリ』の構想があったわけではありません。しかし、苦境を誰かと共に乗り越え、でかい未来を組み替えて希望を目指すという思いをオバレが堂々と歌い上げるこの歌はプリズムの煌めきに溢れています。これはもう『キンプリ』が今起こしている奇跡がまさしくプリズムの煌めきによるものだからと言ってもいいのではないのでしょうか。

 もしかしたらプリズムエリート以外は気付いていなかっただけで、この世界は実質プリティーリズムだったのかもしれません。

 

 ……とまあそれはともかく、『キンプリ』が凄まじい力を持っている作品だということは間違いありません。

 作品を見た人の心を強く揺さぶる力。

 作品を見た人に「世界が輝いて見える」と感じさせるだけの力。

 辛く厳しい世界だからこそ、その世界を輝かせるプリズムショーの力。

 そして私がこのシリーズの記事で語ってきた、『キンプリ』というコンテンツの背景そのものが持つ圧倒的ドラマ性。

 作品が持つ力が現実世界にまで影響を及ぼすこの作品の存在を「奇跡」と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。『キンプリ』は「奇跡」です。「奇跡」であると同時に、コンテンツを心から愛する人たちがいたからこそ作り出すことが出来た、「生まれるべくして生まれた奇跡」なのです。もしかしたら『キンプリ』は、この世界にプリズムの煌めきを広めるためにこの世界に届いたgiftなのかもしれません。

 

 『キンプリ』は奇跡。

 『キンプリ』はプリズムの煌めき。

 『キンプリ』はgift。

 

 ここまでの記事を書いて、強くそう感じました。実際書きながら何回か泣いていました。『キンプリ』の凄いところは応援上映だけじゃないんだぞ!ということを言いたくて、沢山の人に知ってもらいたくて記事を書き始めたらとんでもない長さになってしまいました。

 研究不足や言葉足らずな点もあったかと思いますが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

『キンプリ』の話・第二部「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として見る『キンプリ』

 『キンプリ』の話・第二部です。

 この話は第二部なので、第一部を読んでから読んだ方が分かりやすいかと思います。第一部はカテゴリーの「『キンプリ』の話」のところから読むことが出来ます。

 

 第一部の記事を書いている途中、2016年4月27日(水)にて開催された菱田監督らによるトークイベント「プリズムエリートの二次会」にて「興行収入5億円」というニュースが発表されて開いた口が塞がりませんでした。ついこの間、3月9日のサンキュー♡上映会で3億円突破と発表されたばかりだったような気がしていたのですが、なんだかとんでもないコンテンツと出会ってしまったと思いました。

 それもこれも、2015年初頭頃の私に『プリティーリズム・レインボーライブ』の視聴意欲を起こさせてくれたTwitter上のプリズムエリートの皆さんのお陰です。この場を借りてありがとうの代わりに好きって言わせてください。

 さて、第一部では「キッズ向けコンテンツ原作」としての『キンプリ』の話をしました。第二部では「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としての『キンプリ』の話をします。

 『キンプリ』は「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としては非常に異質なのです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」とは

 まず、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」について。

 この「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」というのは私の造語ですが、もしかしたら私が知らないだけで既にこの言葉を使用している人が私より先にいるかもしれません。もしいたらごめんなさい。

 「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」とは、主に中学・高校生以上の女性をターゲットにした、歌う男性キャラクターがコンテンツの中心になっているコンテンツのこと全般を指します。私はこの手のコンテンツに明るくないのですが、いわゆる「アイドルもの」が大半を占めている印象を受けます。アイドルではなくバンドや役者だったり、アニメ作品そのものがミュージカルだったり、様々な形態で存在していますが、この「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」のほとんどに共通しているのは「中高生以上の女性がターゲットである」ということです。

 しかし、私が「女性向け歌ものコンテンツ」とは言わずに「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」と表記することにしたのには、いくつか理由があります。

 まず、菱田監督自身が『キンプリ』を「女性向け」としては考えていないという点。そして、女性をターゲットにしつつ男性ファンの存在を視野に入れているコンテンツも存在しているためです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」のプラットフォームの形は様々ですが、基本的にゲーム(コンシューマーゲームソーシャルゲーム問わず)やアニメ、あるいはCD・アルバムそのものです。いずれも初めから中高生以上がターゲットなので、メディアやグッズ、イベント展開などもその層を意識したものになります。

 

『KING OF PRISM』という『プリティーリズム』から生まれた新たなコンテンツ

 とあるインタビュー記事にて、菱田監督と依田さんがこのように語っています。

 

菱田:ただ今回作っているのは『プリティーリズム』って言われると『プリティーリズム』なんですけど、今回作っているのは『KING OF PRISM』なんですよね。今やらなくちゃいけないのは新しいコンテンツを作り上げることなんです。

 

依田:僕も『プリティーリズム』は良い意味で引きずりたく無くて。『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』で菱田さんが引導を渡してくれたので、『プリティーリズム』は女児アニメとしてはきれいに完結した作品なんです。なので、またここが新たなスタート地点として作っています。

 

菱田:今回は新しいコンテンツとして見て欲しいですね。

引用元記事

www.animatetimes.com

  『キンプリ』は女児向けアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』を原作とした作品でありながら、新しいコンテンツなのです。

 そして『プリティーリズム』から『KING OF PRISM』になるにあたって、「女児向けコンテンツ」から「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」へとシフトしたことになります。

 個人的にそれを一番最初に意識することになったのは、『キンプリ』のフライヤーが最初に配布された場所が2015年11月に開催されたイベント「アニメイト ガールズフェスティバル」(以下「AGF」)のエイベックスブースだった点でしょうか。

 AGFは年に一回開催され、その名の通り女性向けコンテンツが一堂に会するイベントで、毎年非常に盛況なようです。ようです、という曖昧な表現なのは、私がAGFに行ったのは2015年のAGFが初めてだったからです。目当ては『キンプリ』のフライヤーではなく『SHOW BY ROCK!!』と『スタミュ』の物販だったのですが、結果的に『キンプリ』のフライヤーももらってくることになりました。

 フライヤーを貰った時、『キンプリ』は本当に女児向けじゃない作品なんだな、とぼんやりとではありますが思いました。Over The Rainbowの3人は『レインボーライブ』の頃から登場しており、この時点で女性ファンの存在は意識していたでしょう。とは言え、2014年12月に開催された『プリパラ&プリティーリズム クリスマス☆パーティー』で公開されたHiro×Kojiの「pride」、2015年3月に公開された『劇場版プリパラ み〜んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』の「ルート4 胸キュン!プリズムボーイズツアー」のように、映像作品として登場する際は一応女児向けの体裁は取っていました。(ルート4は毎週金曜の最終上映回限定上映でしたが……)

 それが『キンプリ』でとうとう「女児向け」であることをやめたのです。詳しくは第一部で述べましたが、『プリティーリズム』の後継シリーズである『プリパラ』との競合を避ける以上は「女児向け」であることをやめざるを得ないというのもあります。

 それでは女児向けであることをやめた時、Over The Rainbowが中心にいるコンテンツはどんなコンテンツになるのか? 天才作詞作曲家・神浜コウジ。絶対アイドル・速水ヒロ。ストリートのカリスマ・仁科カヅキ。Over the Rainbowは、そんな3人で構成されたプリズムボーイズユニットです。3人で歌い、踊り、プリズムショーをします。自然と、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」になるのです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としての『キンプリ』

 それでは本題の、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として見た時の『キンプリ』の話をします。

 ますキッズ向けコンテンツを愛好する人間として言いますが、キッズ向けアニメを好んで見ている人の人口は、アニメファンの人たち全体の中で見ると少ないです。そもそも、「子供向けだから」という理由だけで見ない人が多い。多すぎる。いくら面白いよと言っても見ない。声優ファンの人に○○さん出てるよ!と言っても見ない。○○デビュー作だぞ!と言っても見ない。「子供向けだから」「話数が多いから」とか色々言って見ない。そういう人達が何を見ているかって言うと深夜アニメです。

 そういうわけでというわけではないですが、夕方や朝は子供向けアニメの枠で埋まっていることもあり、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」においてメディアミックス展開の中でテレビアニメを放送する時は、それがどれだけ子供でも見れる内容であったとしても、必ず深夜帯に放送されます。

 それでは『キンプリ』はどうかと言いますと、原作がまず女児向けアニメ。女児向けアニメの男性キャラクターを中心としたスピンオフ作品です。まず女児向けアニメを見ているアニメファンが少ないのに、そこに「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として参戦したわけです。

 しかも今は「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」の戦国時代と言っても過言ではないくらいです。男性キャラが歌って踊るコンテンツはもうたくさんあります。そして『キンプリ』は、初めて「女児向けアニメ原作」としてその戦国時代に現れたコンテンツなのです。そもそも当時「Over The Rainbow」と聞いてピンとくる人がいったい何人くらいいたんだろうという話です。

 この「知名度の低さ」という大きなハンデを『キンプリ』が公開までにどのようにカバーしようとしていったかといいますと、前売り券の絵柄で話題性を作ったのが最初の仕掛けでした。

www.animatetimes.com

 前売りが5枚綴りというだけでも十分「やばい」のに、その2種類ある絵柄のうち1種が男5人の全裸。その上そのバージョンの前売り券の名前が「正装ver.」。もう意味が分かりません。

www.animatetimes.com

  こちらの記事で「スタッフ」氏による解説がインタビュー形式で紹介されましたが、読んでもやっぱり意味が分かりませんでした。でも数か月後に『キンプリ』本編を見たらその意味が分かってしまったので本当に恐ろしい作品だと思いました。

 ともかく、この前売り券もプロモーション戦略として押し出されたものでした。

 

 更に公式は、『キンプリ』から初めてOver The Rainbowに触れる人もいることから、2015年11月の時点で「90秒でわかる!Over The Rainbow」という動画を公開しました。ただしこの動画、3分06秒あります。

www.youtube.com

 

 また、西さんなどがインタビューなどで答えているように、『キンプリ』は初めからリピーターを獲得することを目標としていました。

ascii.jp

  第一部でも紹介したこちらのインタビュー記事でも触れられているように、製作委員会を構成するはエイベックス・ピクチャーズ、タツノコプロタカラトミーアーツのたった3社。スポンサーもタイアップも何もない。『プリティーリズム』の知名度が高いとは決して言えない。スポンサーもタイアップも何もないからお金もない。しかも世の中、競合相手として女性向けに作られた男性キャラ中心歌ものコンテンツで溢れ返っている。

 そうした本当に「崖っぷち」とも言える状況下。公開前のニコ生で監督がスタッフに無断でファンに宛てた3枚分の手紙を書いて読み上げ「劇場に足を運んでください」とまで言うほどの逼迫ぶり。

 そして『キンプリ』は公開され――ここから先は今この記事を読んでいる皆さんもご存知の通りです。紆余曲折を経て『キンプリ』は興収5億を突破し、名実ともに間違いなく「大ヒットアニメ映画」となりました。

 

 原作の低い知名度。

 資金は少なく、お金も十分に使えない。

 前売りもそんなに売れてない。

 競合コンテンツ多数。

 

 これらの数々のハードルを『キンプリ』がなぜ乗り越える事が出来たのか、これについては第三部「映画館で見る映画としての『キンプリ』」で軽くではありますが触れようと思います。

 とにかく、『キンプリ』は「女性向け歌ものコンテンツ」としてはかなり異質なところからスタートした作品だということがこれで分かってもらえたのではないでしょうか。

 

 第三部、「映画館で見る映画としての『キンプリ』、まとめ」に移ります。

k-iruka417.hatenablog.com