雨降ってなんとやら

雨降ってなんとやら

好きな四字熟語は諸行無常です

自粛期間中のジャンル新規開拓と激突大事故の話

 タイトルがこの記事の中身の9割。

 さて、3月頃に私はこんな記事を書いた。
k-iruka417.hatenablog.com

 3月の予定が全て消し飛んだ故の記事なので我ながら相当鬱屈している。この記事内で楽しみにしていた夏の予定(リアイベとしてのウルフェス、SideM5th、FGOフェス)は全て消し飛んだ。だがどうにかこうにかなって現在は在宅勤務の権利を手に入れて4月から今に至るまで自宅で仕事をしている。
 自宅で仕事をしていると、通勤時間が浮くし土日もやる事がない外に出るわけにもいかないしで時間が余る。めっちゃ余る。
 なので私は新規開拓に手を出した。その結果、一つのジャンルに激突してしまった。

 「蒼穹のファフナー」である。

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 ※以下、この記事は蒼穹のファフナーシリーズ最新話までのネタバレを含みます。



 「蒼穹のファフナー」は2004年に放送が開始されたSFファンタジー系ロボットアニメ。地球外からの敵・フェストゥムと戦うために巨大ロボット「ファフナー」に乗って戦う少年少女を描いた群像劇である。第1話の放送開始は16年前だが今なお新作が作られている。
 ちょうどゴールデンウィークの頃、ファフナーシリーズは公式で最新シリーズ以外の全部を無料配信し始めていた。1期(2クール)・テレビスペシャル(1時間くらい)・劇場版(1時間半)・2期(2クール)である。平成ウルトラシリーズ並みに物量がやばいし太っ腹すぎる。それをきっかけに私のTwitterのフォロワーがファフナーに足を取られ、全て公開される前に2期最終話まで完走した。
 それを見ていた私は「ちょっと見てみようかなー」くらいの軽い気持ちで、Huluでファフナーを見始めた。5月5日の出来事であった。
 
 そして完全に心を掴まれてしまった。
 
 偽りの楽園、巨大ロボ、戦う少年少女、これでもかと濃厚なSFファンタジー、男男巨大感情幼馴染、強いヒロイン、丁寧すぎて戦いとのコントラストが鮮烈な日常描写、有能な大人、ヒトの形をした人外、地獄の中でも光と生を求め戦う者達、何より予想を簡単に越えていく物語展開。
 もうめっちゃめちゃ面白かった。
 テレビ1期から劇場版まで1週間で完走してしまった。特に最後の1日は1期最終回で呆然となりRIGHT OF LEFTで打ちのめされHEAVEN AND EARTHのあまりの美しさで泣くまでを一気にやってしまった。
 劇場版の一騎と総士の再会のあまりの美しさで2期を見始める前に1週間噛み締める期間を要した。

 1期から劇場版までは、「話が面白すぎる」と「一騎と総士の関係性が強すぎる」に視点が強めに行っていたように思う。劇場版からはここに「乙姫(2期からは織姫)と芹の関係性が強すぎる」が加わった。
 ファフナーは何といっても登場キャラクター達が魅力的なのである。特に主人公の一騎や総士をはじめとする子供達は、子供らしい未熟さも愚かさも賢しさも聡明さも繊細に描かれている。それゆえすれ違うし傷つけ合うし、それでも思い合って繋がり合う。一騎と総士に限らずそういう関係性がしっかり描かれているものだから、彼ら一人一人の戦う姿を忘れたくないと、記憶に刻み付けたいと思いながら見ていた。
 見ている私は大人ゆえに彼らの戦う姿に胸を痛めないわけではないのだが、それ故に作中のアルヴィスの大人達が子供を戦わせることに対してはっきり罪の意識を持っており、彼らが実行出来るあらゆる方法を用いて子供達を守ろうとしているのがなんだか有り難かった。
 だからというわけではないのかもしれないが、特定の「推し」とかは特にいなかった。何しろみんな良いのだ。みんな元気でいてほしいし健康でいてほしいし死なないでほしい。そう思っていた。
 
 そして、劇場版から少しだけ(と言っても1週間)時間を空けて見始めた2期。
 2期は戦いが更に激化し、劇場版に登場した後輩世代パイロットの更に後輩の世代が大きく物語に関わり始める。描かれる世界も島から島の外の世界へと範囲が広がり、前期ED「暗夜航路」の歌詞のように「真っ暗な地獄の中をそれでも光を求めて進み続ける者達の物語」としての側面が非常に強くなった。
 2期、もちろん面白い。文句なしに面白かった。だが展開が非常にハードで、見るのに時間と体力を要した。誰もが命を削り、それでも未来のために誰かのために島のために戦っていた。中盤の某キャラが死んだ回など辛すぎて次の回に進むのに1週間かかった。
 そんな2期の終盤で私はついに「推し」を自覚した。してしまった。
 
 春日井甲洋と来主操である。

 この2人を推しと自覚した瞬間に私は「ああ私ファフナーと激突して事故ったんだわ、多分しばらく抜け出せないわ」と理解した。
 この2人の話はもう少し後でする。
 とにかく私は2期を完走した。そしてある意味1期完走後以上に呆然とすることになった。大変な戦いだった。画面の中も視聴者の私も大変だった。情緒がぐっちゃぐちゃになった。
 それでも、地獄の中で生きようとする者達の戦いの物語は私になにかを与えてくれた。
 生きる活力とか、勇気とか、多分そういうものを確かに与えてくれたのだと思う。

 そして私は2期を見終わってすぐに最新シリーズのOVA蒼穹のファフナーTHE BEYONDをアマゾンで注文していた。

 THE BEYONDも物凄いことになっていた。
 皆がそれぞれの人生を生き、生きるために戦っていた。劇場版までのパイロットメンバーは皆大人になった。2期からのメンバーも成人一歩手前だし、美羽もすっかり成長した。
 まるで1期を再演するかのような一騎と子総士の構図がやはり印象的なのだが、初期のパイロットメンバー全員が大人になったことで現役パイロット達を時に戦場で時にバックで支える側となる世代交代もあり、ああ本当に彼らは生きているのだなと強く感じた。
 それはそれとして美羽と子総士の見た目十代前半実年齢十歳と五歳の喧嘩がかわいすぎる。
 ビヨはまだ完結していないので今のところは既巻を何周かしてその度に呆然となっている。
 
 そう、それで春日井さんと操の話になる。

 まず春日井さん(作中で誰もそう呼んでいないが何となくそう呼ばざるを得ない強さを感じているので私はそう呼んでいる)。1期と劇場版の時点で物凄い人ではあったのだが、2期での登場シーンがあまりにもずるかった。

 かつての思い人の搭乗機であるマークゼクスの改良型であるアマテラスを、
 かつての自分と同じような窮地から救い出して、
 自分がヒトとしての最期の時を迎えた海の中で、
 コックピットの中で新たに得たヒトの形を見せながら、
「確かに助けたぞ、一騎」
 そんな最高すぎる再登場の仕方ある?????????????????????
 こんなの全人類恋に落ちてしまうだろうがよ………………………………

 帰還した彼は感情表現が希薄で、どこか超然とした印象を与えた。本当にあの春日井甲洋なのか、と思うくらいには。心よりも島を・仲間を守るという意思だけで動いているようであった。
 二期からの彼は言うなれば元人間のヒト型人外である。ヒトの姿形をしてはヒトとして振る舞うが、ヒトではない。春日井さんの場合まず何よりも先に意思がある。意思さえあれば彼は肉体がなくても戦える(肉体がなくても戦ったのが劇場版である)。
 彼の人間時代が幸福と言えたのかどうかは分からない。育ての親からは愛されずそれ故に苦しい思いをし続けていたが友達の一騎達や犬のショコラがいたし、何より思い人の翔子がいた。だが翔子は戦死、それをきっかけに一騎や総士とも関係を悪化させ、やがて戦いの中でヒトではなくなってしまう。それでも彼は紆余曲折の果てにフェストゥムとなってもなお自我を持ち、皆を守りたいというあまりにも強い意思だけで島のかつての仲間達を何度も救ってきた。その果てで彼は人間とフェストゥムの架け橋と為りうる存在にまでなってしまった。
 だがとにかくそんな春日井さんの有り様が私に刺さりすぎてしまったものだから、ビヨで2期の頃よろ更に人間らしい笑顔を見せる彼とその日常の一端が垣間見えるシーンがあったのがとても嬉しかった。その眼鏡とエプロンは反則ではないかね?

 そして操である。
 彼にも2期での登場シーンで完全にやられてしまった。
 再登場の数話前から美羽とエメリーが呼び掛け続け、それに答えた「援軍」が劇場版で総士の存在を守り続けていた「来主操」……の生まれ変わり、言うなれば「二代目来主操」だった。
 2期終盤における春日井さんと操の集結のくだりは文字通り、戦う者達が必死で掴み取った未来と祈りの結果である。
 操の合流は美羽達の意図を知った総士をして「ギリギリの賭け」と言わしめたが、それでも操は間に合ってみせた。竜宮島目前で人類軍に攻撃されそうになっている人々を守るフェストゥムという、人類軍に対するあまりにも最高の意趣返しで。

 まあそういう長々とした前置きをすっ飛ばしても来主操、めちゃめちゃ可愛いのである。いやもう劇場版の操も可愛かったのだが二代目もまた二代目でめっちゃ可愛い。ミールの手からコアになったことで劇場版より自己肯定感が上がった感じがある。新しい服を着て大喜びしたり初代同様にショコラが苦手だったり暉カレーを嬉しそうに食べたり素直すぎるあまり皮肉が通じなかったりと、とにかく可愛い。仕草も可愛いし顔も声も可愛い。大体全部何もかもが可愛い。
 彼もまた、成り立ちはまるで異なるが春日井さん同様にヒトの姿形をしたフェストゥムである。彼の外見不相応の幼さはそもそもヒトではないがゆえとも言える。
 そして一番びっくりしたのが、ビヨでは彼が羽佐間家にお世話になっているという事実である。生物学的な意味でも社会的な意味でも親を持たないし必要ないはずの個体である彼が、容子さんをお母さんと呼び心の底から嬉しそうにただいまを言うのだ。
 更に羽佐間家の飼猫であるクーを可愛がり、新EDでは島の猫達と楽しそうに遊んでいる。心が読めないから動物が苦手だと思っていたら成長している……間違いなく成長している……。さらに喫茶楽園では甲洋と一緒に働いているらしい事まで判明してビヨ4~6話だけで情報量がすごい。だから眼鏡とエプロン。

 めっちゃ楽しそうに人間らしい人生生きてるじゃんこの子……。

 そう思っただけに、6話で彼が自分が近いうちに死んで生まれ変わることを予期した事もそれを切っ掛けに容子さんの怒りに触れてしまった事も悲しくて切なくて仕方ない。操は確かに人の心は読めるが機微まではまだ分からないから戦いの中で娘を2人奪われた容子さんの気持ちは推し量れないし、それでも「お母さん」が心のうちで自分に死んで欲しくないと願っている事だけははっきりとわかるのだ。
 操は「死ぬことが怖いから死にたくない」というより「自分が死んでお母さんを悲しませるのが嫌だから死にたくない」ように見える。
 己の死が近いことを悟った時の言い方からして、操は己の死を恐れる性格ではない、あるいは死の恐怖を味わった事もないのだろう。その操が「まだ死にたくない、もっと長く生きたい」と願ったのだ。それだけ操にとって「お母さん」が大きい存在になったのではないか。
 彼は乙姫や織姫のように、人間と比べれば非常に短いサイクルで生と死を循環させる存在なのだ。HAEを経てそういう存在になった。言い方はあれだがそういう所がまた私に刺さってしまった。

 しかし操を好きであることを自覚してから1週間で「もうすぐ死ぬ」と本人から最新話で告げられた時は「そんな事ってある……?」という気持ちになったし今もそういう気持ちである。

 とにもかくにも、約1ヶ月半で私はファフナーシリーズ最新話まで走り抜けてしまった。
 とてつもない満足感と充足感、そして早く7話以降を見たいという期待感と期待感ゆえの恐怖と共に、私はネタバレ避けのためにずっと見るのを避けていたファフナーシリーズ公式サイトを見に行った。
 
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蒼穹のファフナー THE BEYOND


 あっ……………………

 骨は拾ってください。