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雨降ってなんとやら

Twitterだけではまとまり切らないことを長文にしてまとめる用。

『キンプリ』の話・第三部「映画館で見る映画」としての『キンプリ』、まとめ

 第三部です。映画としての『キンプリ』の話をします。

そしてこの記事は第三部なので、先に第一部と第二部を読んだ方が分かりやすいと思います。「カテゴリー」の「『キンプリ』の話」のところからどうぞ。

 

 恐らく「応援上映」という上映形態については各所で語り尽くされている気がしますし、私も以前Privatter上に応援上映のレポートついでにそんな感じの話をしました。なので今回はそちらの文章の一部サルベージになります。

 ちなみに元の文章はこちらになります。Privatterに掲載していますが全体公開設定にしているのでどなたでもご覧いただけます。

privatter.net

  応援上映の概要や実際の空気感についてはだいたいこちらに書いてあるので、先に読んでいただいた方がいいかもしれません。

 また、応援上映の公式PVもこちらに貼っておきます。

www.youtube.com

アトラクションとしての映画、アトラクションとしての『キンプリ』

ascii.jp

  このインタビュー記事で西さんが語っているように、「応援上映会」は『プリティーリズム』の最初の劇場版『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』から『プリパラ』の映画までずっと続けられている催しです。

 

「映画」と「アトラクション」という言葉がすぐに結びつく人がどれくらいいるのかは分かりませんが、映画館のアトラクション化はどんどん進んでいます。例えば、もうすっかり当たり前になった3D上映、映画に合わせて客席が動いたりするMX4D、超大画面と迫力の音響で映画を楽しむことが出来るIMAX ……映画のスペクタクル化が進んでいることもあって、映画館に行けばアトラクション感覚で映画を楽しむことが出来る時代なわけです。

 しかし、そう言ったアトラクション上映であっても基本的に観客は静かにしているのがルールです。笑い声が起こることはあるでしょう、けれど上映中に声を出してキャラクターを応援したり、ましてやサイリウムを振るなどご法度です。

 そして応援上映に最も近い形態の上映形式が、上映中に叫んでOKの「絶叫上映」です。応援上映の先祖として西さんが挙げており、アニメ映画や一部実写映画にて、一部上映館で実施されることがあります。しかしそれでも、『プリティーリズム』『プリパラ』『キンプリ』のように、多くの上映館で応援上映を行う映画はほとんどありません。

 

『キンプリ』は、『プリティーリズム』からの伝統に則り、更にとても応援上映向きである映画です。なぜなら、菱田監督たちがそのように映画を作ったからです。初めからアトラクションとしても作られている映画なのです。

 そして応援上映の凄い所は、普通のシアターでアトラクション上映ができるというところです。3D上映も、MX4Dも、IMAXも、それ専用のシアターでないと上映できません。ところが『キンプリ』の場合は基本的に2D上映しかありません。特別な音響設備を持っている劇場は音響のレベルを上げて上映することもありますが、『キンプリ』の場合は基本的に2Dデジタル上映が出来る設備を持っている映画館でならどこででも上映出来て、どこででも応援上映が出来るのです。今日び新作を公開するような映画館は必ず2Dデジタル上映が出来る設備を整えています。

 つまり、応援上映というアトラクション上映を行うために必要な特別な設備はないのです。「どこの劇場であっても楽しく、新しい感覚で映画を楽しむことが出来る」……これが応援上映の最大の強みなのではないでしょうか。

 そして実際に応援上映は大きな話題となり、めざましテレビ等のテレビ番組で取り上げられるまでになりました。

「応援上映」も「絶叫上映」も、「映画館で見る映画は静かにみるもの」という固定概念を覆す上映形態です。「絶叫上映」はネット上では話題になりますがテレビではほとんど取り上げられることはありません。しかし今回『キンプリ』によって「応援上映」が大きく取り上げられることになったのは、「応援上映」が特殊な設備を必要とせず、どんな映画館であっても開催可能な上映形態だからではないでしょうか。

 

 とは言え正直なところ、どうして上映2ヶ月目3ヵ月目になった辺りで「応援上映」がこんなに話題になったのか私には分かりません。物珍しさか、はたまた他の何かか。しかしTwitter上を初めとした口コミで「応援上映」が話題になり、動員数が公開3週目で急激に増え、反響を受けて初め3週間限定の予定だった上映期間が延長し、ここぞとばかりに公式側が応援上映のPVを作り……と、応援上映の話題性に上手く乗っかった公式側のプロモーション上手も一因な気がします。

 渋谷のスクランブル交差点の街頭ビジョンで応援上映のCMが流れたのも話題になりましたね。私は感動で足が震えて倒れそうになりました。

 

 映画館は最近、人を呼び込めないという事で悩んでいます。そんな中で『キンプリ』は、特別な設備がなくても開催可能な特別な上映形態「応援上映」の可能性を世間に知らしめたという意味で日本の映画界になかなか意義深いことをしてのけたのではないでしょうか。

 そこまで大仰な話でなくても、「応援上映」の活況をみた映画業界の人が、映画館に人を呼ぶためのヒントを何か掴むことが出来たらいいなと、映画館で映画を見るのが好きな人間としては思います。

結局『キンプリ』とは「何」なのか

 まず初めにこちらの動画をご覧ください。

www.nicovideo.jp

  これは『キンプリ』公開前である2015年12月23日に菱田監督、一条シン役の寺島淳太さん、涼野ユウ役の内田雄馬さんが出演したニコ生にて菱田監督がずっと応援して来たファン――プリズムエリート達に向けて読み上げた「手紙」です。

 

 第一部、第二部にて『キンプリ』がどういう状況の中で生まれた作品なのかはお話ししました。スタッフ全員が背水の陣で挑んだ『キンプリ』。プリズムエリート達はその思いを受け取り、SNSで必死になって発信し続けました。「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、と。

『キンプリ』のヒットの要因として、よく「ファンの口コミ」「熱心な布教活動」が挙げられますが、これは本当にその通りだと思います。上映初日、学校行事で初日に見に行けなかった私がTL上で散見した「やばい」「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、そして「もう一回見なきゃ……」の言葉の数々。制作に携わったスタッフの方がそういった感想を見て思わず「何かとんでもないものを作ってしまったのでは」とツイートしてしまうほどのエリート達の反応。何かとんでもない事が起きているな、と思いました。

 

 そして『キンプリ』は、作り手、そして元からのファン達の想像を遥かに超えるヒットを記録しました。つい先日発売されたサウンドトラック。6月にDVD・Blu-rayの発売も決定。4月27日に発表された、興行収入5.3億円という数字。動員数は30万人突破、様々なグッズメーカーが『キンプリ』グッズの企画・発売を発表し、コラボショップやコラボカフェといったイベントも続々発表・開催されます。

 更に9月11日には東京国際フォーラムホールCにてイベント発表。内容はホールCのキャパいっぱい1500人による『キンプリ』応援上映と、Over the Rainbowのキャストである柿原徹也さん、前野智昭さん、増田俊樹さんの3人によるトークショー。『キンプリ』の舞台挨拶やイベントは、スタッフなら菱田監督やプロデューサーの西さん依田さん、キャラクターデザインの松浦さん、キャストはシン役寺島さんを初めとした新世代キャラクターのキャストが中心。『レインボーライブ』の頃からOver the Rainbowだった柿原さんたちは、ホームページ上や劇場パンフに掲載されるコメントはあれどイベントには登壇していませんでした。それがいよいよ、『キンプリ』のために用意された場でOver the Rainbowの3人が揃うわけです。

 初めから予定されていたわけでは無い展開が、プリズムエリート達が劇場に何度も足を運んで払ったお金から生み出されています。それもちゃんと、エリート達の思いに応える形で。貰った愛を愛で返すような形で。

 

 私は昨年になってから『レインボーライブ』を見たという、『プリティーリズム』を好きな方たちの中ではまだまだ新参です。正直プリズムエリートと名乗ることすらおこがましいです。でもこれが泣かずにいられるかという話です。現に今書きながら泣いてます。多分iTunesがGet music! とドラマチックLOVEを連続で流したせいだと思います。まさしく最高最強の気分です。

 きっと、『プリティーリズム・オーロラドリーム』の頃から『プリティーリズム』を応援して来た方々からすればこの感動は私などの比ではないのでしょう。

 

『キンプリ』は「キッズ向けコンテンツ原作もの」としても「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としても前例がない事をやってのけてしまいました。ミニシアター枠から始まって5月に入ろうとする今なお上映館数を伸ばし続け、3ヵ月以上に渡るロングランや上映37日目にして最高動員数を記録するというのも、映画として見てもとんでもない作品です。

 

 そして少しずつ、『キンプリ』を見た多くの人が待ち望んでいるであろう「続編」への光が見え始めていることが、監督達の各種媒体でのコメントからも伝わってきます。私も今から続きを見たくて堪りません。

 8月・12月には『レインボーライブ』のBlu-rayボックスの発売も予定されています。

 

 今改めてOver The Rainbowの「athletic core」を聞いてみると、その歌詞がまさしく『キンプリ』にかけた菱田監督達の思い、そして『キンプリ』が上映開始後に立ち向かった苦境、エリート達の力と共にそれを乗り越えていく様のように見えます。「athletic core」の初出は『レインボーライブ』最終話なので、この時点で『キンプリ』の構想があったわけではありません。しかし、苦境を誰かと共に乗り越え、でかい未来を組み替えて希望を目指すという思いをオバレが堂々と歌い上げるこの歌はプリズムの煌めきに溢れています。これはもう『キンプリ』が今起こしている奇跡がまさしくプリズムの煌めきによるものだからと言ってもいいのではないのでしょうか。

 もしかしたらプリズムエリート以外は気付いていなかっただけで、この世界は実質プリティーリズムだったのかもしれません。

 

 ……とまあそれはともかく、『キンプリ』が凄まじい力を持っている作品だということは間違いありません。

 作品を見た人の心を強く揺さぶる力。

 作品を見た人に「世界が輝いて見える」と感じさせるだけの力。

 辛く厳しい世界だからこそ、その世界を輝かせるプリズムショーの力。

 そして私がこのシリーズの記事で語ってきた、『キンプリ』というコンテンツの背景そのものが持つ圧倒的ドラマ性。

 作品が持つ力が現実世界にまで影響を及ぼすこの作品の存在を「奇跡」と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。『キンプリ』は「奇跡」です。「奇跡」であると同時に、コンテンツを心から愛する人たちがいたからこそ作り出すことが出来た、「生まれるべくして生まれた奇跡」なのです。もしかしたら『キンプリ』は、この世界にプリズムの煌めきを広めるためにこの世界に届いたgiftなのかもしれません。

 

 『キンプリ』は奇跡。

 『キンプリ』はプリズムの煌めき。

 『キンプリ』はgift。

 

 ここまでの記事を書いて、強くそう感じました。実際書きながら何回か泣いていました。『キンプリ』の凄いところは応援上映だけじゃないんだぞ!ということを言いたくて、沢山の人に知ってもらいたくて記事を書き始めたらとんでもない長さになってしまいました。

 研究不足や言葉足らずな点もあったかと思いますが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。