雨降ってなんとやら

雨降ってなんとやら

色んな話をします。

この時代に個人サイトをやるメリットとデメリット

pixivやTwitterのUI改変規約改定その他諸々の度に個人サイト回帰ツイートが回ってくる。
そうは言いつつ現代のオタクはpixivやTwitterの規模と便利さに慣れてしまっているからなんだかんだそのままそこにい続けている人が大多数である。

とはいえ自分の作品をネットに公開している人間にはそれぞれの理由があるし、その中には個人サイトが一番向いている人だっていると思う。

もうすぐ平成も終わるこの時代に二次創作個人サイトを運営してる人間として、個人サイトが一番向いていたらしい人間として、一度この記事を書いておくべきだと思った。

2018年5月頃、私はpixivに載せていた小説の半分以上を削除した。
そしてレンタルサーバーを借りて、wordpressというオープンソースソフトウェアを使って過去作を全て掲載した個人サイトを開設した。現在でも月一以上のペースは保ちつつ更新している。
ジャンルはいわゆる「よろず」。私が二次創作で過去扱った、現在扱っているジャンルの作品ほとんど全部を扱っている。
ちなみにwordpressを選んだ理由は「操作経験があるから」である。あと転職活動の時にWebサイト運営経験を履歴書に書いて話のネタにでもしてやろう、みたいな下心はあった。

当記事では、個人サイトを運営していて感じたメリットとデメリットを3つずつ挙げている。
ただ私が個人サイト運営の現状にそこまで大きなデメリットを感じていないため、デメリットとしている部分は「正直私にはあまりデメリットではないけどこういう人には辛いのでは?」という想像に基づいている物がある点を先に了承していただきたい。

個人サイト運営のメリット

1.全てを自分のペースで運営できる

ブクマ数とか点数とか気にする必要がまったくない。
私にはこのメリットが一番大きい。
私は作品を書く上で承認欲求が邪魔になってしまうタイプだ。
点数が欲しい・多くの人にウケる作品を書きたいと少しでも思ってしまうと自分の書きたいものが書けなくなってしまうし、他人にウケる物より自分の書きたいものを最優先したいので、好き勝手出来る個人サイトを開設したのは非常に大きい。
そもそも二次創作をしているのだって九割が自分の為だし、それをネットに公開しているのは同じ物が好きな人へのお裾分けの気持ちが大きい。

更新ペースを気にする必要もない。
人口の多いジャンルの作品と人口の少ないジャンルの作品でブクマの桁が違って、どちらも同じくらい好きなのに若干落ち込んでしまう必要も無い。
「これpixivに単体で上げるには話が短すぎるな……」とかも気にしなくていい。

お陰でpixivにいた時より伸び伸び楽しく書けている。
自分の好きな物を好きなだけ、いくらでも書ける自分のホーム。それが個人サイトだと思う。

2.サイトの外観と構成を好きに弄れる

私はサイト作成にはオープンソースソフトウェアのwordpressを使っている。
wordpressはちょっとやり方を調べれば初心者でもそれなりに見えるサイトを簡単に作れるので凄い。
更にHTML5とかCSS3とかphpとかJavaScriptといった言語の知識を仕入れれば割と何もかもが思い通りになる。

wordpress使わなくても簡単に個人サイトを開設出来る方法は色々あると思うしHTMLサイト用のテンプレートなんかもあるので、個人サイト開設を検討している人は色々調べてみて欲しい。
サイトの外観を弄れるようになれば特定のセリフだけ灰色にしたり特定の作品だけ赤文字黒背景にしたり特定のセリフだけフォントを変えたりが思うままに出来るようになる。
あと裏ページへの行き方とかも自分で楽しく考えられる。自分で一からサイトの構成を考えて実装するのは意外と楽しい。ただし面倒でもある(後述)。

3.自分が死ねば半自動で公開されなくなる

これは有料レンタルサーバーを利用している者に限った話である。
私はスターサーバーの月額300円程度のプランでサーバーを借りて半年毎に一括で支払っているのだが、つまり自分が死ねば支払う人間がいなくなり、支払い遅滞と見なされサーバー側からサイトはWeb上に公開されなくなる。
個人サイトに限れば、死んだ後の自分の作品の心配をする必要はほぼない。

ただし私とは逆に、自分が死んでも作品は残って欲しい人にはこれは大いにデメリットだと思う。そういう人は電子だけで満足せず同人誌作って紙にして残した方がいいと思う。良くも悪くも紙なら燃えたり水没したりしない限り残るから……。

なお私は自分のサイトに広告表示させたくないので有料プランを契約しているのだが、同人サイトに利用出来る無料のレンタルサーバーだってそれなりにある。広告邪魔だろうけど。

個人サイト運営のデメリット

1.人が来ない

マジで人が来ない。
ランクサイトに登録しても、Twitterで逐一更新のお知らせをしても、やっぱりpixivに比べると閲覧数は激減する。今時ランクサイトを覗いて自カプサイトをサーチして更新チェックして……とやっている人は本当に少ないのである。
そもそも自分が扱ってるジャンルのランクサイトが存在しない事もある。
そんなわけで自分の為に二次創作してる私のような人間でも「これ同カプ者に作品届いてなさそうだな……」と危惧するレベルに人が来ない。
これが現代を生きる承認欲求が強い人に個人サイトが向いてない理由。
でもその分、来てくれる人の存在がとても有難いのである。

2.感想が来ない

当たり前だが人が来ないので感想も来ない。
そういう訳なので、感想が来ないと創作を続けていけないタイプの人にも現代で個人サイトをやるのはあまりお勧めできない。15〜20年前ならいざ知らず。
けれどその分、稀に拍手から感想をくれる人の存在はとても有難い。

3.構築とメンテがめんどくさい

現代ではインターネットを利用する際にスマホとPCが主に使われるので、スマホ版とPC版の2種類のレイアウトを構築する必要がある。
wordpressであればPCとスマホそれぞれの画面に合わせて表示を最適化してくれるレスポンシブ対応のテーマを選べばこの点は軽々クリア出来るので、私にはあまり大きな問題にはなっていない。フォレストも最近はレスポンシブ対応でサイト組めたはず。
ただHTMLで一から構築するのは、言語知識がないと本当にきついと思う。

そして自分で運営してるので、定期的な自力メンテナンスは必要。
サーバーのメンテナンスはサーバー運営会社がやってくれるけど、サイトそのもののメンテナンスは自分でやることになる。
これが意外とめんどくさい。
アクセス解析して不審なアクセス痕跡が無いかたまに確認しないといけないし、サイト構築に使ってるソフトやテーマのバージョンが上がる度に一応サイトに影響無いか確認しないといけないし、レイアウト弄った時にも主なページに悪影響が無い事を確認しないといけない。

現代の作り手オタクがpixivに流れるのは、構築とメンテが面倒なのも多分にあるからだと思う。
個人サイト全盛期を通って来た元個人サイト運営者の方々でもTwitterやpixivがメインの活動場所になっている人は多い。
流石に私もめんどくさいと思っているし、これから個人サイトをやろうとしている人にはちゃんと伝えるべきだと思う。

あと当たり前だがレンタルサーバーにも規約はある。
レンタルサーバーで「同人サイトNG」「たとえ絵・文章だけでもアダルトコンテンツNG」などの規約があればそれに従わねばならないから事前にサーバーの規約はしっかり確認しなければならない。 そしてもしそれが後から追加されて自分のサイトが規約に引っ掛かるのであれば、サイトを新しいサーバーに移転しなければならない。
もっとも、個人サイトであればサイトのソースファイルや作品データを持ってサーバーだけ変えるという引越し作業がSNSよりはやりやすい面もある。


以上、個人サイト運営のメリットデメリットについてつらつら述べてみた。
まあなんだかんだ今回もみんなTwitterやpixivに居残るんだろうなあと思っているが、それでも時代が変われど個人サイトが一番合っている描き手・書き手だってきっとどこかにいる筈だ。
この記事が少しでもそういう人の参考にでもなれば幸いである。