雨降ってなんとやら

雨降ってなんとやら

色んな話をします。

「ベイブレードバースト」という素晴らしいスポ根系アニメを見てほしい

 タイトルそのままの内容ですが、今日の記事は、テレビアニメ『ベイブレードバースト』についてです。
 『ベイブレードバースト』(以下『ベイバ』)は、テレビ東京にて毎週月曜の夕方17時55から2016年4月から放送されているアニメです。
 タイトルそのまま、「ベイブレード」というおもちゃを題材としています。

www.beyblade.tv 

www.tv-tokyo.co.jp

 このベイバでは、競技としてのベイブレードに夢中になる男の子達の姿がスポ根ものさながらに描かれています。どの子達も真っ直ぐベイに向き合い、ベイを愛しているからこそ伸び悩む自分に苦しみ、そして仲間と切磋琢磨して、高みを目指していきます。
 そしてシナリオがとても丁寧。作り手がしっかり作品やキャラクターと向き合い、主なターゲット層である子供達に対して真摯かつ誠実に作っているからこそ全ての年齢層が楽しめる作品になっていると感じます。
 あとOPでSEがちゃんと鳴る。そこホビアニのOPとして大事だし重要だと思います(個人の意見です)。

 ベイバの最大の特徴の一つは、何と言っても「ベイブレードを使って悪事を企む者がいない」という点ではないでしょうか。
 そう、「出てこない」のが特徴です。
 ホビアニと言ったら、視聴者側の世界ではおもちゃとして発売されているアイテムを利用して世界征服を企む悪の組織がお決まりのように登場します。
 しかしベイバにはそんなもの出てきません。
 出て来ないんです。そう、それこそが特徴。出て来ないからこそ、子供たちが何かの使命感や世界の危機に立ち向かう重さにとらわれることなく、純粋に心からベイブレードという「競技」に打ち込める。
 みんな純粋にベイブレードに打ち込んでいて、ブレーダーである彼らを応援する周りも心から応援していることが分かるから、悪人が出て来ないっていうところもすごく良いです。
 勿論、そういう組織とかが出て来るアニメだって面白い作品沢山ありますよ。ただそういう作品が大多数なもので、ベイバのようなホビーを純粋にずっと、スポーツ的な競技として描く作品は少数派です。
 個人的にはキャラの生死とか裏切りとかそういうので胃と心にすごいストレスがかかってしまう体質なので、ベイバの人の命がかかってないスタイルは見ていて非常に安心します。

 制作陣が実際の大会に取材をした上で制作したというエピソードからも分かるように、真っ正面からベイブレードという競技を描くことで、ベイブレードが好きなテレビの前の子供達に対しても真摯かつ誠実に作られたアニメです。そして、子供達に対して真摯で誠実だからこそ、大人が見ても胸が熱くなる作品でもあります。
 何かに真剣に打ち込む少年たちは最高にかっこいい。
 そう心から思わせてくれる、それが『ベイブレードバースト』なのです。

 そんな『ベイブレードバースト』!なんとAmazonプライムビデオで全話無料配信中!プライム会員は最初の三十日は無料お試し可能です!
 コロコロ公式YouTubeチャンネルでは地上波放送後すぐに最新話を一週間無料配信!
 物語は現在、全国大会編に突入。まずは団体戦で、仲間と共に全国の頂点を目指す!新たなライブも続々登場し、物語はどんどん熱くなっていきます!
 まだまだ放送半年過ぎたところ、一日につき一、二話のペースなら余裕で追いつけます!
 『ベイブレードバースト』を!『ベイブレードバースト』を是非ともよろしくお願いします!!

「爆丸」10周年に寄せて・『爆丸バトルブローラーズ』というアニメの話  

爆丸バトルブローラーズ』というアニメをご存知でしょうか。

 2006年7月より展開された玩具「爆丸」を原案として2007年4月から1年間放送されたテレビアニメです。その後間を置いて2010年3月から2011年3月まで第2期『ニューヴェストロイア』、2011年4月から2012年1月まで第3期『ガンダリアンインベーダーズ』が日本でテレビ放映されました。

 

私は第2期の『ニューヴェストロイア』で爆丸と出会いました。私はこのアニメが本当に好きで好きで、このアニメをきっかけにホビアニというジャンルが好きになりました。放送開始時ぎりぎり中学生(放送中に高校生になりました)だった私は、爆丸をきっかけに、自分はどうやら少年漫画や深夜アニメよりキッズ向けアニメの方が肌に合っているらしいと気付いてしまったのです。

 

今回は、私事全開な内容にはなりますが、ちょうど3か月ほど前に玩具の方の「爆丸」が10周年を迎えたこともあるので、久しぶりにがっつりと『爆丸バトルブローラーズ』について語りたいなと思ってこの記事を書くことにしました。

 

まずはこちらの公式サイトを見てください。

 

爆丸バトルブローラーズ』第1~3期ホームページ(あにてれ

www.tv-tokyo.co.jp

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どうですか……この……熱い王道ホビーアニメ感……長森佳容さんによる少し硬質な、しかし生き生きとした力強いキャラクターデザイン、ごてごてだけどだからこそかっこいいモンスターのデザイン……かっこいい、最高ですわ……。

年代によって子供が好む絵柄も変わってきますし、最近のホビアニは柔らかめのキャラデザが流行っているなあと感じますが、私は長森さんのこういう硬めの絵も好きです。

 

日本では3シーズン放送されていることもあり、主人公のダン・ライバルで幼馴染のシュン・参謀のマルチョという3人の固定メンバーがシーズンを経る毎に身体的にも精神的にも確実に成長していくところが堪らないです。彼らの活躍を、成長を見ていたい、そう強く思わせてくれるキャラクター達が生き生きと活躍する姿は、いつ見てもグッとくるものがあります。

 

ストーリー展開も熱い王道もので、パートナー爆丸と絆を深め、力を合わせてライバル達や悪の組織と戦い、強くなり、世界を救う!そんなホビアニの王道を行くストーリーが勢いよく進んでいくので、ある意味とても安心して見られます。敵キャラが結構容赦なく死んだりもしますが……。

私は、アニメ・漫画問わず、1年以上同じキャラクターで続くような長期作品において重要なのは「このキャラの姿をもっと見たい!」と視聴者や読者が思えるかどうかだと思っているのですが、『爆丸バトルブローラーズ』はまさにそれなのです。キャラクターの成長を見守り、応援し、一緒に熱くなれる。そんなシリーズなのです。

 

ただ、一つ残念なのは……

 

このアニメ、第4期まで制作されているのに、4期が日本で放送されていないところなんですよね……

 

辛い……合法的な視聴手段なんてない……Wikipediaの英語版とか海外版公式サイトを読み込んで展開を知る以外の方法が特にない……もちろん全部英語……おかげで英語凄い苦手だったのにだんだん得意になった……。

数年前にファン側から4期の放送希望のネット署名なども行いまして、私も微力ながら署名したりはしましたが、テレビ放送どころかソフト化もネット配信もされていないのが現状なので辛いオブ辛い。日本で生まれたアニメの正統な続編なのに日本で放送されない。辛い。

 

いや見て?見てくださいこの画像。ダン・シュン・マルチョの1~4期の比較画像なんですけど。私が作ったんですけど。解像度低いのはごめんなさい。一番上から1~4期順番に並べたんですけど。この微妙だが確実な成長具合を見てくれ。

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凄い。流石大長森神。でも私はこの4期の彼らが動く姿を見る事が出来ない。なぜなら日本で放送されてないし、合法的な視聴手段もないから。

こんなにも4期が見たいのに。見たいと思っているのに。ただただ彼らの物語を、見る事が出来るところまで見たいだけなのに。

 

4期が見たい見たいと思い続けてもうすぐ5年になるんですかね。

正直もう半分諦めてますけど、それでもやっぱり諦めきれないです。

だって大好きなキャラクター達の成長した姿が見られてその上3期ですっきりしなかったところが4期ですっきりすると知ったらそりゃ4期見たくなるでしょう。

 

なぜ4期が日本で放送されず、3期で放送が終了したのか?ということについては、ちょっとだけ複雑な事情があります。

 

最初に説明するべきだった気がするのですが、爆丸はそもそも日本より欧米諸国でヒットした玩具なんですね。

爆丸」という玩具はそもそも日本の企業であるセガトイズと、カナダの企業であるスピンマスターが共同で開発したものになります。

で、日本と北米で同時に1期のアニメ放送されたはいいものの、日本での第1期放送開始時、日本では実際の玩具展開とのスケジュールが合わず、結果として北米の方でだけ大ヒットしました。

 

そして北米では1期放送終了から1年の間を置いて2期『ニューヴェストロイア』が放送開始され、順調に玩具を売り上げ、世界展開もしていったというわけです。それから日本は1年遅れて、日本での1期放送から2年の間を置いて2期が放送されました。

 

ただ、『ニューヴェストロイア』は日本からしてみれば2年前に放送されていたアニメの続編、という形になります。北米でも1期と2期の放送の間に1年間が開いているためか、『ニューヴェストロイア』は1期を見ずにいきなり見始めても大丈夫なようには作ってあります。それでも基本的に世界観もキャラクターも地続きなので、少しだけ新規層が参入しづらそうなところはあります。

 

そこで日本で日本の男児向けに展開されたのが、コロコロコミックで2010年に漫画版の連載が開始された『爆TECH! 爆丸』(2010年から2014年まで連載、全10巻)です。

 

『バトルブローラーズ』が爆丸をモチーフとしたファンタジーSF的なアニメになっているのに対し、『爆TECH!』ではファンタジー要素を交えつつも現実にかなり近い(※個人の感想です)競技としての爆丸が描かれています。『爆TECH!』も非常に面白いので、是非読んでいただきたいです。10巻しかないので新品でも全巻揃えるのに5kかかりません。大多数のソシャゲの10連ガシャよりちょっと高いくらいです。

 

で、過程は省略しますが、結果的に日本での爆丸の玩具展開は『爆TECH!』を中心としたものになっていきました。

そして、それが影響したからかどうかは分かりませんが、もしかしたら視聴率とか玩具の売り上げとかちょっと大きな声で言いづらい事情が関係していたのかもしれませんが、ぶっちゃけ関係してたんだろうなとは思いますが、結果的に日本での爆丸の展開は『爆TECH!』中心のものへと完全にシフトし、4期は放送することなく、3期で放送終了することになりました。

 

ちなみに3期の後番組はかの一部界隈で有名な『ズーブルズ!』です。

ズーブルズは爆丸の機構を女児向け玩具に応用したおもちゃで、爆丸同様にセガトイズとスピンマスターが共同開発しています。

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私ももういい年ですし、アニメ放送は決して慈善事業ではないということは分かっています。テレビアニメを作るのにもテレビで放送するのにも莫大なお金がかかるし、それを考えるとお金になる可能性が薄い4期が日本で放送されることはもうないんだろうな、とは思います。

でもそれはそれとして、やっぱり4期が見たいんです。だって、4期の映像は確実に完成しているんですよ?日本版音声のものも存在しているようなんです。ただ、日本で放送されていないだけなんです。それってなんだか、ファンとして悲しいし寂しいし、悔しいです。

 

来年4月で『バトルブローラーズ』10周年ですし、セガトイズさんが何かしてくれませんかね。おーいセガトイズーーーーー!おはリルーーーーーーーー!!『バトルブローラーズ』を4期も含めた全シリーズネット配信してーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

 

別に『バトルブローラーズ』の存在が忘れられているわけはないと思うんです。制作会社のトムス・エンタテインメントさんは2014年に杉並アニメーションミュージアムにて開催された企画展『トムス・エンタテインメント アニメと歩んだ50年展』で爆丸についての展示を用意してくれていましたし……台本とか実機とか設定資料とか……アンパンマン名探偵コナンルパン三世といった国民的作品に混じって……。トムス50周年だからネット配信してくれないかなとか思ってたら何もなかったですけど……。

 

ネット配信するためのお金が無いなら、今流行りのクラウドファウンディングで資金を募ってみてほしいとすら思います。お金なら出すよ……

 

そもそも日本で放送されたシリーズも現状では非常に視聴困難です。

1期から3期は一応1期と2期はセル・レンタル両方の円盤があって、3期はレンタル限定で円盤化されていますが、もう店頭に置いている店がほぼないです。セル版の円盤も高騰しているものが大多数。レンタル落ちはぎりぎりあったりする(小声)。

ネット配信もどこでもされていないので、身近に円盤を貸してくれる人がいない場合は、もうツタヤのネットレンタルサービス「ツタヤディスカス」でレンタルするか、もしくは国会図書館で館内視聴するくらいしか視聴手段がないです。

ちなみに国会図書館は18歳以上しか利用できないです。

 

ツタヤディスカス公式HP

movie-tsutaya.tsite.jp

 

国立国会図書館公式HP

国立国会図書館―National Diet Library

 

あにてれ公式HPを見て少しでも気になるキャラがいた人は是非ともツタヤディスカス国会図書館で『爆丸バトルブローラーズ』を見てください。

 

 

とりとめもなくつらつらと爆丸について書いてきましたが、あまり長くても良くないかと思うので、この辺りで終わりにしようと思います。

なおこの記事を書こうと思った最大の理由は、セガトイズさんかトムスさんがエゴサした時にこの記事がうっかり引っ掛かって『爆丸バトルブローラーズ』が好きな人間がまだここにいるということを知ってくれないかな、せめてネット配信の検討だけでもしてくれないかな、と思ったからです。SNSって便利ですね。

 

もちろん私は男児でも子供でもないので、爆丸の対象年齢ではありません。なので、爆丸がもう対象の子供達に向けて展開することはないからこれで終了する、と言われたら、もう何も言えません。

ただ私は、いい年になった今でも爆丸が好きだし、爆丸の公式にお金を払いたいと思っています。

スピンマスターがシリーズのリランチを計画している、という噂を以前海外サイトで見かけました。噂は噂ですが、爆丸がいつかまたおもちゃやさんの棚に戻って来ることを期待したいですし、そして4期をいつかきちんと見る事が出来ると信じたいと思っています。

玩具やアニメの対象年齢でもない私の意見に力があるとは正直思いませんが、もう応援する手段がほぼなくても、微力であっても爆丸を応援していきたいと、そう強く思っています。

 

爆丸バトルブローラーズ』を、どうかよろしくお願いします。

 

最後に、実機の爆丸とポップアウトした姿の写真でお別れです。ゲートカードはどこに保管しているのか思い出せなかったので、目の前にあった缶バッジでポップアウトさせました。こうして並べると3姉妹みたいで可愛いですね。フェニックス可愛い。一番好きな爆丸です。

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ここまで読んでくださってありがとうございました。

【第十四幕ネタバレ有】スタミュ OVA第二巻先行上映会&スタッフトーク 東京20:30~レポまとめ

スタッフトークの内容を、聞きながら取ったメモと記憶を頼りにまとめました。途中でメモを取るのを諦めた部分や口調違い、曖昧な部分もありますので、他の方のレポなども参考にしてください。

トークの合間合間でのスタッフさん同士の会話も仲の良さが伝わってきてほっこりしたり笑わせていただいたりしたので、その辺りも可能な限りレポしています。

なお、このレポは第十四幕のネタバレを含むのでご注意ください。ネタバレ無バージョンはこちら

k-iruka417.hatenablog.com

 

登壇されたスタッフさんは以下、このように表記していきます。

 

監督・多田俊介さん:監督

シリーズ構成・ハラダサヤカさん:ハラダさん

作詞家・くまのきよみさん:くまのさん

総合プロデューサー・杉本美佳さん:杉本P

トークショー司会&音楽プロデューサー・藤平直孝さん:藤平P

 

第十三幕・十四幕終了後、まず藤平Pが登壇。藤平Pの紹介で、他の四人も登壇。監督とくまのさんはイベント公式グッズの星のペンライトを持っていました。

 

OVA本編・新作ミュージッククリップについての話

 

監督「『また来年』で終わった一期の締めくくりとしてのOVA。華桜会の卒業まで描くことで、十三幕・十四幕で一区切りすることが出来たので、そこで満足できるような内容にした。二期は更にそこから先を描いて行くことになります」

 

ハラダさん「一期の段階で描きたかった事、やり残したことは全て描けました。『スタミュ』の裏テーマである先輩後輩の縦の繋がりもじっくり描けた。(OVA制作段階では二期が決まっていなかったので)これが最後のチャンスかもしれないという気持ちで書いた。その割に本編だけでは分からない(第一期五巻特典ブックレット、鳳・柊対談で名前が登場している)魚住先輩の名前が出たりしていますが、魚住先輩はこの先の可能性の一つとして描きました。登場させることが出来て嬉しかったです」

 

くまのさん「十三幕は新曲だらけ。OVAのEDはチーム違いで替え歌にして、大切な先輩を送り出す歌として先輩を思う歌にしました。皆さんには感謝の思いでいっぱい。OPをどうするか考えた時、スタミュのキャラクターを見て、それぞれのキャラクターにカラーがあって、色んな色が散りばめられてスタミュが出来ているんだと考えた時にサビの『夢はナニ・イロ』が浮かんだ。『フィナーレは僕たちの胸に』は、初めから暁からスタートして次に鳳、という指示があって大変だった(テレビアニメ一期だとそのような指示はなかったので)。一期の時も、ミュージカルパートで『ここを使うんだ』『ここでサティ…⁈』と驚いた」

監督「『SATISFY』は『スタミュ』に番組として爆発力が欲しかったので、二番の歌詞をあそこに持って来ました」

くまのさん「Tシャツにもなりましたもんね!」

(場内拍手)

藤平P「ここで拍手起きるんですね……⁈」

 

監督「『SING A SONG! MUSICAL!』は、ディズニーランドの夜のショーのように、夜に校舎の前で皆の前で踊っているという設定で作りました。黒い燕尾服という衣装は、最上級生としてのアダルトさが出ればいいなと思ってああなりました」

 

 

OVA第二巻特典について

ブックレット特典の対談企画について

ハラダさん「星谷・那雪・ゆうき・つむぎ対談は、ゆうきとつむぎの、team鳳のそれぞれのメンバーの印象なんかのガールズトークに、男二人が翻弄されている感じです。

海斗・遥斗・辰己・申渡対談は、とってもとっても月皇がやり辛そう。お兄さんと他二人は好き勝手やってます。海斗・辰己・申渡の三人は付き合いが長くて気心も知れている者同士なので、三人同士の会話は書いていて楽しいです。辰己・申渡から遥斗に孫弟子目線の質問をぐいぐいしたりもします。今まで聞かれなかったような情報も出せました」

特典ドラマCDについて

ハラダさん「すごく楽しかったです」

in 漣家について

ハラダさん「漣家の道場・家庭事情を描いています。鳳が凄い手土産を持って行く。バカやってる高校生の華桜会を描けました」

in 空港について

ハラダさん「第十一幕でteam鳳が出掛けた遥斗の主演ミュージカルのパンフ撮影の実習の際、遥斗が星谷以外のteam鳳のメンバーとどんな話をしたのか、ということがドラマCDやブックレットで出ます。月皇もびっくりな会話がありました」

 

おすすめの台詞は?という質問に

ハラダさん「in 漣家だと、貴重な鳳のツッコミ『まだあるの?』という台詞。俺が突っ込まざるを得なかった、という感じです。諏訪部さんの芝居もあっていい感じ。

in 空港は、二回目の『海斗』ですね。役者としての先輩ではなく、本当の兄としての『海斗』が聞けます」

藤平P「発売前で会場の方誰もドラマCD聞いてないのにピンポイントすぎますね」

杉本P「そうですよね、もっと大まかに語れと」

質問コーナー

(このコーナーについては可能な限り解答元も明記していきます)

藤平P「言えないことはノーと言います!僕笑わせに行きますからね!」

杉本P「なんでハードル上げるの?」

Q.天花寺は私服が和装のイメージが強いですが、パンツもふんどしですか。

A.監督「キャラクターデザインという作業は、目に見える表面的な部分だけでなく体のデッサンやラフ画なんかも描くのですが、デッサンにふんどしを描いている人はいませんでした」

杉本P「そんなラフ画回って来た事はないですね」

結論:天花寺はふんどしではない

Q.星谷君は憧れの人にいつ気付くんですか?気付けるんですか?

A.監督「スタミュの方向性を決める重要な質問ですね。スタミュは出したネタは全て拾っていくという稀有なアニメらしいですが、星谷も……」

 ハラダさん「一話のあのアバンを作ったからには気付かせたいですね」

 監督「多分どっかで気付く。二期なのか三期なのか四期なのか五期なのか分かりませんが……」

 杉本P「三期まだ決まってませんからね⁈」

 藤平P「『三期は』ということは四期は……⁈」

 (会場ここで拍手)

Q.第十三幕で星谷・那雪のメガネが似ていたのには何か理由があるんでしょうか?二人で買い物にいったとかでしょうか?

A.あれは天花寺のメガネのストック。二人が掛けていたから天花寺はメガネを掛けていなかった。同じ人のメガネだからデザインが似ていた。

 藤平P「天花寺メガネ何十本も持ってそう……」

 ハラダさん「でも星谷と那雪は一緒に買い物はよくすると思います」 

Q.月皇君のパトロンになる方法を教えてください

 杉本P「いろんな人がいますねえ……」

 藤平P「(結婚したい人とかもいますよね、という話になり)我々は結婚相談所じゃないですからね!」

A.パトロンとかは月皇は嫌がりそう。プロになった時に一番のファンになるのが、彼にとってのパトロン。公演が決まったら何回も通うとか。出待ちとかお金を渡されたりとかは嫌がると思う。

 その中で遥斗は月皇家に稼いだお金を入れているのか?という話に。月皇家はお金があるので多分入れてない。その流れで何故か空閑家にお金を入れる遥斗の話になる。

 ハラダさん「遥斗からのお金めっちゃ怖い」「裏がありそう」(これはハラダさんではなかったかも……)

 もちろん空閑は、遥斗からお金を渡されても受け取らない。

Q.ハラダさんがTwitterでツイートしていた「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の詳細を教えてください。

杉本P「監督とハラダさんにTwitterを始めていただいたのは、『スタミュ』をなんとかして広めるため。二人ともTwitter見もしないしやれもしないのに、初めていただきました」

初めの頃は(今でも?)ツイートのやり方を杉本Pにいちいち確認していたそうです。可愛い。

 

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」が生まれたのは、札幌の上映会・スタッフトークのために北海道に行った時、回転寿司で打ち合わせなどをしていた時に「天花寺・空閑・回転寿司」の組み合わせがなんだか楽しくなってしまった生まれた妄想。

 (この時、監督か杉本Pがこれから二期の本格的な作業が始まって監督や作画担当が痩せていく……と仰っていました)

 

 以下、「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の概要。

空閑が天花寺を回転寿司に連れて行き、天花寺に全皿制覇させて自分は天花寺が注文した分のうち一貫を自分で食べる。「天花寺、この皿の色知ってるか?」とか言う。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」は、「in 空閑家」のような空閑なりの茶目っ気。天花寺は小銭をじゃらじゃら持ち歩いたりしないので、ジャンプすると服の中からブラックカードがバラバラーっといっぱい出て来る。そして天花寺は空閑にたかられているとも気付かず、空閑にいいものを食べさせている。

 空閑からの誘い文句は「天花寺、(バイクの)後ろに乗せてやる」「ダチを後ろに乗せるのは初めてだ」。天花寺は「ダチ」と言われると弱い。

 星谷・那雪は天花寺がたかられていることに気付いてハラハラしているし、虎石は遠くから見ながら「梨園の貴公子にたかるなんてマジウケる~ww」と爆笑しているし、申渡は「大丈夫なんでしょうか……」と心配している。

Q.戌峰は両親からワンワン軒を継ぐよう言われたらどうしますか?

A.ハラダさん「むしろ両親が継がせません。どうかミュージカル俳優になってください!という感じ」

 戌峰の両親はワンワン軒の「オーナー」で、本場の中国の方を料理人として雇っている。

Q.卯川は寝る時どんな服装ですか?

A.監督「描いたことはないんですけど、僕からオーダーするなら普通にボタンのパジャマにします」

寮はトイレ・風呂・洗濯共用なので、夜の寮の廊下でパジャマにスリッパの可愛い卯川が見られるかもしれない。(実際に描けるかどうかは分からない、とのこと)

Q.虎石はなぜ男友達が多いのでしょうか?男に嫌われるタイプなのでは?

藤平P「虎石は男から見てもいいやつですよ!」

監督(?)「虎石は男には嫌われませんね」

もちろん彼女を取られたとかになったら話は別。

ハラダさん「スタミュは各キャラクター毎での関係性をきちんと決めているんですが、星谷・虎石は各チームの外交役のようなもので、チームメイト・友達で接し方の線引きをしていません」

Q.鳳と柊が双子ということを知っている人はいますか?

A.現役生の中では誰も知らない。第九幕の回想時点だと、二人からしても言って回りたいことでもなかった。

二人きりの時でも基本的に苗字で呼び合う。そっちで慣れてしまった。

Q.一年生の鳳はローファーを履いていますが、三年の鳳は紐の革靴を履いています。この違いは何でしょうか?華桜会ドレスコードのようなものですか?

(なんて細かいことに気付くんだ、とスタッフ場内騒然)

A.ドレスコードと言うより、自分を主張できる立場になったということの現れ。見れば分かる通り華桜会ドレスコードは無い。

この時、楪の格好がだいぶ奇抜、と言う話になり、

 

監督「楪は、鳳や柊や漣が男らしいスタンダードなカッコよさだったので、そうじゃないカッコよさを狙って、キャラクターデザインの渡邊さんに『とりあえず高見沢で』とオーダーしました」

 

高見沢で、と監督が言った時場内大爆笑でしたが皆納得している様子でした。

Q.華桜会の五人が同じ舞台に立つ事はあるのか?

A.監督「『SING A SONG! MUSICAL!』のミュージカルクリップがそう。『SING A SONG! MUSICAL!』ではあえてお客さんを映していません」

ここから、演出についての話になりました。

「『SING A SONG! MUSICAL!』の演出はライティングに非常に拘りました。ライティングに拘ったのは第十二幕の『星瞬COUNTDOWN』もそう。雨粒とライトの組み合わせに拘っていて、あの場面のキラキラは、雨粒にライトが反射したお客さん目線の輝きなんです。ライティングの表現は非常に難しいのですが、表現のために作画には拘っています」

Q.監督に質問です。ミュージカルパートの超演出はどうやって考えていますか?

A.監督「(超演出とは言われるが)普通にナチュラルに、カッコいいと思ってやってる。第一幕の『我ら、綾薙学園華桜会』のコンテを切った時、『これはアイドルがステージに立って踊るのとは違う、ミュージカルなんだ』『劇的なものなんだ』『内面を表す映像が必要なんだ』ということをスタッフに伝えたところ、他のミュージカルパート担当の演出達も全員放っておいてもいわゆる超演出をやり始めました」

この時監督から、華桜会のご登校を出迎えているのは二年生だという話が出ました。

 

ここで時間が押しているという事で一回プレゼント抽選タイムを挟みました。

抽選タイム終了後、少し時間もいい具合に残ったという事で質問をもう一つ。

Q.「SING A SONG! MUSICAL!」と「我ら、綾薙学園華桜会」の振付が似ているのはなぜでしょう?

A.藤平P「振付師の方がこの場にいないので、答えられる範囲で答えていきます。振付の発注はいつも僕からしていて、『SING A SONG! MUSICAL!』の振付を発注する際も、『華桜会と言うブランドを表現する上で、似ている振付や彼らにしか出来ない事を入れるといいのではないかと』とオーダーしました」

監督「上がって来たダンサーさんによる実写の動画は必ず本編サイズ全部のダンスが収録されていますが、どこを使うかは演出が組み立てて決めています。必要な演出のために何度か角度を変えて撮影し直すこともあります」

ダンサーさんは動画の最初に必ず担当するキャラの名前を『鳳でーす』『暁でーす』とか言うらしい。藤平Pいわく、この時の監督のダンサーさんの物真似が似ていたらしい。いつも同じダンサーさんが同じキャラを担当している。

桜会ダンスには指先まで拘っていて、揃っているように見えて実はバラバラだったりするので、発売後は一時停止もしたりしてじっくり見てほしい、とのこと。

最後の挨拶

最後にそれぞれから〆の挨拶。確実にこれは言ってた、というところだけ。

この段階でかなりメモ取る力が尽きてたので、他の方のレポも参考にしてください。

 

監督「熱心に応援していただけるファンの皆さんとこうして交流できる場は我々にとっても楽しみ。仕事とは思ってないですからね!二期でもこういうことが出来るよう、応援していただけたらと思います」

ハラダさん「現在二期のシナリオで佳境に近い事をしている時期で、特に鳳と遥斗の話をしていると込み上げて来るものがあります。鳳に何を言わせるかで半分くらい頭がいっぱい。今情緒不安定になってやっていることが来年形になっているので、楽しみにしていてください」

くまのさん「皆さんの全部見終わった後の溜息のような声を聞いて、ぐっとくるものがありました。実りある二巻になったと思います。二期でも是非(藤平Pの方を見ながら)、ハニトラやキラメキラキラ☆みたいな楽しいのをやらせてもらったらいいなと思ってます」

杉本P「『最後のアレ』で感無量になりました。皆さんと共有できて幸せです。(この後、皆さんの中でスタミュが何かをお届けできるものになれば、と言っていました。曖昧で申し訳ないです)」

藤平P「沢山の楽曲を生み出させていただきました。是非、音楽も楽しんでほしいです。フルバージョンも含めてのミュージカルソングなので、是非フルでも聞いてください。僕達の五人でチーム多田・華桜会のようなもの。僕達の後ろに本当に沢山のスタッフたちがいます。僕らが止まったら全体が止まってしまう。絶対最後まで走り続けるので、応援していただければと思います」

 

 この挨拶でトークショーは終了。

 上映会、そしてトークショーと、スタッフの皆さんの愛と熱がたくさん感じられました。制作陣がスタミュの事を沢山愛してくれていることが伝わるから、スタミュと言うコンテンツは温かいと感じる事が出来るのかな、と思いました。

拙いレポでしたが、ここまでありがとうございました。

【第十四幕ネタバレ無】スタミュ OVA第二巻先行上映会&スタッフトーク 東京20:30~レポまとめ

スタッフトークの内容を、聞きながら取ったメモと記憶を頼りにまとめました。途中でメモを取るのを諦めた部分や口調違い、曖昧な部分もありますので、他の方のレポなども参考にしてください。

トークの合間合間でのスタッフさん同士の会話も仲の良さが伝わってきてほっこりしたり笑わせていただいたりしたので、その辺りも可能な限りレポしています。

なお、こちらの記事はネタバレ無バージョンです。第十四幕のネタバレになるような話を避けるため、質問コーナーの内容を中心に載せています(質問コーナーのネタバレ箇所も避けています)。

ネタバレ有バージョンは別途載せています。

 

登壇されたスタッフさんは以下、このように表記していきます。

 

監督・多田俊介さん:監督

シリーズ構成・ハラダサヤカさん:ハラダさん

作詞家・くまのきよみさん:くまのさん

総合プロデューサー・杉本美佳さん:杉本P

トークショー司会&音楽プロデューサー・藤平直孝さん:藤平P

 

第十三幕・十四幕終了後、藤平Pが登壇。藤平Pの紹介で、他の四人も登壇。監督とくまのさんはイベント公式グッズの星のペンライトを持っていました。

 

OVA本編についての話。

監督「『また来年』で終わった一期の締めくくりとしてのOVA。華桜会の卒業まで描くことで、十三幕・十四幕で一区切りすることが出来たので、そこで満足できるような内容にした。二期は更にそこから先を描いて行くことになります」

ハラダさんのコメントはネタバレを含むので割愛。

 くまのさん「十三幕は新曲だらけ。OVAのEDはチーム違いで替え歌にして、大切な先輩を送り出す歌として先輩を思う歌にしました。皆さんには感謝の思いでいっぱい。OPをどうするか考えた時、スタミュのキャラクターを見て、それぞれのキャラクターにカラーがあって、色んな色が散りばめられてスタミュが出来ているんだと考えた時にサビの『夢はナニ・イロ』が浮かんだ。『フィナーレは僕たちの胸に』は、初めから暁からスタートして次に鳳、という指示があって大変だった(テレビアニメ一期だとそのような指示はなかったので)。一期の時も、ミュージカルパートで『ここを使うんだ』『ここでサティ…⁈』と驚いた」

監督「『SATISFY』は『スタミュ』に番組として爆発力が欲しかったので、二番の歌詞をあそこに持って来ました」

くまのさん「Tシャツにもなりましたもんね!」

(場内拍手)

藤平P「ここで拍手起きるんですね……⁈」

 

OVA第二巻特典について

ブックレット特典の対談企画について

ハラダさん「星谷・那雪・ゆうき・つむぎ対談は、ゆうきとつむぎの、team鳳のそれぞれのメンバーの印象なんかのガールズトークに、男二人が翻弄されている感じです。

海斗・遥斗・辰己・申渡対談は、とってもとっても月皇がやり辛そう。お兄さんと他二人は好き勝手やってます。海斗・辰己・申渡の三人は付き合いが長くて気心も知れている者同士なので、三人同士の会話は書いていて楽しいです。辰己・申渡から遥斗に孫弟子目線の質問をぐいぐいしたりもします。今まで聞かれなかったような情報も出せました」

 

特典ドラマCDについて

ハラダさん「すごく楽しかったです」

 

in 漣家について

ハラダさん「漣家の道場・家庭事情を描いています。鳳が凄い手土産を持って行く。バカやってる高校生の華桜会を描けました」

in 空港について

ハラダさん「第十一幕でteam鳳が出掛けた遥斗の主演ミュージカルのパンフ撮影の実習の際、遥斗が星谷以外のteam鳳のメンバーとどんな話をしたのか、ということがドラマCDやブックレットで出ます。月皇もびっくりな会話がありました」

 

おすすめの台詞は?という質問に

ハラダさん「in 漣家だと、貴重な鳳のツッコミ『まだあるの?』という台詞。俺が突っ込まざるを得なかった、という感じです。諏訪部さんの芝居もあっていい感じ。

in 空港は、二回目の『海斗』ですね。役者としての先輩ではなく、本当の兄としての『海斗』が聞けます」

藤平P「発売前で会場の方誰もドラマCD聞いてないのにピンポイントすぎますね」

杉本P「そうですよね、もっと大まかに語れと」

質問コーナー

(このコーナーについては可能な限り解答元も明記していきます)

藤平P「言えないことはノーと言います!僕笑わせに行きますからね!」

杉本P「なんでハードル上げるの?」

Q.天花寺は私服が和装のイメージが強いですが、パンツもふんどしですか。

A.監督「キャラクターデザインという作業は、目に見える表面的な部分だけでなく体のデッサンやラフ画なんかも描くのですが、デッサンにふんどしを描いている人はいませんでした」

杉本P「そんなラフ画回って来た事はないですね」

結論:天花寺はふんどしではない

 Q.星谷君は憧れの人にいつ気付くんですか?気付けるんですか?

A.監督「スタミュの方向性を決める重要な質問ですね。スタミュは出したネタは全て拾っていくという稀有なアニメらしいですが、星谷も……」

 ハラダさん「一話のあのアバンを作ったからには気付かせたいですね」

 監督「多分どっかで気付く。二期なのか三期なのか四期なのか五期なのか分かりまんが……」

 杉本P「三期まだ決まってませんからね⁈」

 藤平P「『三期は』ということは四期は……⁈」

 (会場ここで拍手)

Q.第十三幕で星谷・那雪のメガネが似ていたのには何か理由があるんでしょうか?二人で買い物にいったとかでしょうか?

A.あれは天花寺のメガネのストック。二人が掛けていたから天花寺はメガネを掛けていなかった。同じ人のメガネだからデザインが似ていた。

 藤平P「天花寺メガネ何十本も持ってそう……」

 ハラダさん「でも星谷と那雪は一緒に買い物はよくすると思います」

 結論:あれは天花寺のストックメガネ。

Q.月皇君のパトロンになる方法を教えてください

 杉本P「いろんな人がいますねえ……」

 藤平P「(結婚したい人とかもいますよね、という話になり)我々は結婚相談所じゃないですからね!」

A.パトロンとかは月皇は嫌がりそう。プロになった時に一番のファンになるのが、彼にとってのパトロン。公演が決まったら何回も通うとか。出待ちとかお金を渡されたりとかは嫌がると思う。

 その中で遥斗は月皇家に稼いだお金を入れているのか?という話に。月皇家はお金があるので多分入れてない。その流れで何故か空閑家にお金を入れる遥斗の話になる。

 ハラダさん「遥斗からのお金めっちゃ怖い」「裏がありそう」(これはハラダさんではなかったかも……)

 もちろん空閑は、遥斗からお金を渡されても受け取らない。

Q.ハラダさんがTwitterでツイートしていた「天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」の詳細を教えてください。

杉本P「監督とハラダさんにTwitterを始めていただいたのは、『スタミュ』をなんとかして広めるため。二人ともTwitter見もしないしやれもしないのに、初めていただきました」

初めの頃は(今でも?)ツイートのやり方を杉本Pにいちいち確認していたそうです。可愛い。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」が生まれたのは、札幌の上映会・スタッフトークのために北海道に行った時、回転寿司で打ち合わせなどをしていた時に「天花寺・空閑・回転寿司」の組み合わせがなんだか楽しくなってしまった生まれた妄想。

(この時、監督か杉本Pがこれから二期の本格的な作業が始まって監督や作画担当が痩せていく……と仰っていました)

 

空閑が天花寺を回転寿司に連れて行き、天花寺に皿制覇させて自分は天花寺が注文した分のうち一貫を自分で食べる。「天花寺、この皿の色知ってるか?」とか言う。

天花寺、ちょっとジャンプしてみろよ」は、「in 空閑家」のような空閑なりの茶目っ気。天花寺は小銭をじゃらじゃら持ち歩いたりしないので、ジャンプすると服の中からブラックカードがバラバラーっといっぱい出て来る。そして天花寺は空閑にたかられているとも気付かず、空閑にいいものを食べさせている。

 空閑からの誘い文句は「天花寺、(バイクの)後ろに乗せてやる」「ダチを後ろに乗せるのは初めてだ」。天花寺は「ダチ」と言われると弱い。

 星谷・那雪は天花寺がたかられていることに気付いてハラハラしているし、虎石は遠くから見ながら「梨園の貴公子にたかるなんてマジウケる~ww」と爆笑しているし、申渡は「大丈夫なんでしょうか……」と心配している。

Q.戌峰は両親からワンワン軒を継ぐよう言われたらどうしますか?

A.ハラダさん「むしろ両親が継がせません。どうかミュージカル俳優になってください!という感じ」

 戌峰の両親はワンワン軒の「オーナー」で、本場の中国の方を料理人として雇っている。

Q.卯川は寝る時どんな服装ですか?

A.監督「描いたことはないんですけど、僕からオーダーするなら普通にボタンのパジャマにします」

寮はトイレ・風呂・洗濯共用なので、夜の寮の廊下でパジャマにスリッパの可愛い卯川が見られるかもしれない。(実際に描けるかどうかは分からない、とのこと)

Q.虎石はなぜ男友達が多いのでしょうか?男に嫌われるタイプなのでは?

A.藤平P「虎石は男から見てもいいやつですよ!」

監督(?)「虎石は男には嫌われませんね」

もちろん彼女を取られたとかになったら話は別。

ハラダさん「スタミュは各キャラクター毎での関係性をきちんと決めているんですが、星谷・虎石は各チームの外交役のようなもので、チームメイト・友達で接し方の線引きをしていません」

Q.鳳と柊が双子ということを知っている人はいますか?

A.現役生の中では誰も知らない。第九幕の回想時点だと、二人からしても言って回りたいことでもなかった。

二人きりの時でも基本的に苗字で呼び合う。そっちで慣れてしまった。

Q.一年生の鳳はローファーを履いていますが、三年の鳳は紐の革靴を履いています。この違いは何でしょうか?華桜会のドレスコートのようなものですか?

(なんて細かいことに気付くんだ、とスタッフも場内も騒然)

A.ドレスコードと言うより、自分を主張できる立場になったということの現れ。見れば分かる通り華桜会ドレスコードは無い。

この時、楪の格好がだいぶ奇抜、と言う話になり、

 

監督「楪は、鳳や柊や漣が男らしいスタンダードなカッコよさだったので、そうじゃないカッコよさを狙って、キャラクターデザインの渡邊さんに『とりあえず高見沢で』とオーダーしました」

 

高見沢で、と監督が言った時場内大爆笑でしたが皆納得している様子でした。

Q.監督に質問です。ミュージカルパートの超演出はどうやって考えていますか?

A.監督「(超演出とは言われるが)普通にナチュラルに、カッコいいと思ってやってる。第一幕の『我ら、綾薙学園華桜会』のコンテを切った時、『これはアイドルがステージに立って踊るのとは違う、ミュージカルなんだ』『劇的なものなんだ』『内面を表す映像が必要なんだ』ということをスタッフに伝えたところ、他のミュージカルパート担当の演出達も全員放っておいてもいわゆる超演出をやり始めました」

この時監督から、華桜会のご登校を出迎えているのは二年生だという話が出ました。

 最後の挨拶

最後にそれぞれから挨拶。確実にこれは言ってた、というところだけ。

この段階でかなりメモ取る力が尽きてたので、他の方のレポも参考にしてください。

 

監督「熱心に応援していただけるファンの皆さんとこうして交流できる場は我々にとっても楽しみ。仕事とは思ってないですからね!二期でもこういうことが出来るよう、応援していただけたらと思います」

 

ハラダさん「現在二期のシナリオで佳境に近い事をしている時期で、特に鳳と遥斗の話をしていると込み上げて来るものがあります。鳳に何を言わせるかで半分くらい頭がいっぱい。今情緒不安定になってやっていることが来年形になっているので、楽しみにしていてください」

 

くまのさん「皆さんの全部見終わった後の溜息のような声を聞いて、ぐっとくるものがありました。実りある二巻になったと思います。二期でも是非(藤平Pの方を見ながら)、ハニトラやキラメキラキラ☆みたいな楽しいのをやらせてもらったらいいなと思ってます」

 

杉本Pのコメントはややネタバレ含むので割愛。

 

藤平P「沢山の楽曲を生み出させていただきました。是非、音楽も楽しんでほしいです。フルバージョンも含めてのミュージカルソングなので、是非フルでも聞いてください。僕達の五人でチーム多田・華桜会のようなもの。僕達の後ろに本当に沢山のスタッフたちがいます。僕らが止まったら全体が止まってしまう。絶対最後まで走り続けるので、応援していただければと思います」

 

 この挨拶でトークショーは終了。

 上映会、そしてトークショーと、スタッフの皆さんの愛と熱がたくさん感じられました。制作陣がスタミュの事を沢山愛してくれていることが伝わるから、スタミュと言うコンテンツは温かいと感じる事が出来るのかな、と思いました。

拙いレポでしたが、ありがとうございました。

『キンプリ』の話・第三部「映画館で見る映画」としての『キンプリ』、まとめ

 第三部です。映画としての『キンプリ』の話をします。

そしてこの記事は第三部なので、先に第一部と第二部を読んだ方が分かりやすいと思います。「カテゴリー」の「『キンプリ』の話」のところからどうぞ。

 

 恐らく「応援上映」という上映形態については各所で語り尽くされている気がしますし、私も以前Privatter上に応援上映のレポートついでにそんな感じの話をしました。なので今回はそちらの文章の一部サルベージになります。

 ちなみに元の文章はこちらになります。Privatterに掲載していますが全体公開設定にしているのでどなたでもご覧いただけます。

privatter.net

  応援上映の概要や実際の空気感についてはだいたいこちらに書いてあるので、先に読んでいただいた方がいいかもしれません。

 また、応援上映の公式PVもこちらに貼っておきます。

www.youtube.com

アトラクションとしての映画、アトラクションとしての『キンプリ』

ascii.jp

  このインタビュー記事で西さんが語っているように、「応援上映会」は『プリティーリズム』の最初の劇場版『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』から『プリパラ』の映画までずっと続けられている催しです。

 

「映画」と「アトラクション」という言葉がすぐに結びつく人がどれくらいいるのかは分かりませんが、映画館のアトラクション化はどんどん進んでいます。例えば、もうすっかり当たり前になった3D上映、映画に合わせて客席が動いたりするMX4D、超大画面と迫力の音響で映画を楽しむことが出来るIMAX ……映画のスペクタクル化が進んでいることもあって、映画館に行けばアトラクション感覚で映画を楽しむことが出来る時代なわけです。

 しかし、そう言ったアトラクション上映であっても基本的に観客は静かにしているのがルールです。笑い声が起こることはあるでしょう、けれど上映中に声を出してキャラクターを応援したり、ましてやサイリウムを振るなどご法度です。

 そして応援上映に最も近い形態の上映形式が、上映中に叫んでOKの「絶叫上映」です。応援上映の先祖として西さんが挙げており、アニメ映画や一部実写映画にて、一部上映館で実施されることがあります。しかしそれでも、『プリティーリズム』『プリパラ』『キンプリ』のように、多くの上映館で応援上映を行う映画はほとんどありません。

 

『キンプリ』は、『プリティーリズム』からの伝統に則り、更にとても応援上映向きである映画です。なぜなら、菱田監督たちがそのように映画を作ったからです。初めからアトラクションとしても作られている映画なのです。

 そして応援上映の凄い所は、普通のシアターでアトラクション上映ができるというところです。3D上映も、MX4Dも、IMAXも、それ専用のシアターでないと上映できません。ところが『キンプリ』の場合は基本的に2D上映しかありません。特別な音響設備を持っている劇場は音響のレベルを上げて上映することもありますが、『キンプリ』の場合は基本的に2Dデジタル上映が出来る設備を持っている映画館でならどこででも上映出来て、どこででも応援上映が出来るのです。今日び新作を公開するような映画館は必ず2Dデジタル上映が出来る設備を整えています。

 つまり、応援上映というアトラクション上映を行うために必要な特別な設備はないのです。「どこの劇場であっても楽しく、新しい感覚で映画を楽しむことが出来る」……これが応援上映の最大の強みなのではないでしょうか。

 そして実際に応援上映は大きな話題となり、めざましテレビ等のテレビ番組で取り上げられるまでになりました。

「応援上映」も「絶叫上映」も、「映画館で見る映画は静かにみるもの」という固定概念を覆す上映形態です。「絶叫上映」はネット上では話題になりますがテレビではほとんど取り上げられることはありません。しかし今回『キンプリ』によって「応援上映」が大きく取り上げられることになったのは、「応援上映」が特殊な設備を必要とせず、どんな映画館であっても開催可能な上映形態だからではないでしょうか。

 

 とは言え正直なところ、どうして上映2ヶ月目3ヵ月目になった辺りで「応援上映」がこんなに話題になったのか私には分かりません。物珍しさか、はたまた他の何かか。しかしTwitter上を初めとした口コミで「応援上映」が話題になり、動員数が公開3週目で急激に増え、反響を受けて初め3週間限定の予定だった上映期間が延長し、ここぞとばかりに公式側が応援上映のPVを作り……と、応援上映の話題性に上手く乗っかった公式側のプロモーション上手も一因な気がします。

 渋谷のスクランブル交差点の街頭ビジョンで応援上映のCMが流れたのも話題になりましたね。私は感動で足が震えて倒れそうになりました。

 

 映画館は最近、人を呼び込めないという事で悩んでいます。そんな中で『キンプリ』は、特別な設備がなくても開催可能な特別な上映形態「応援上映」の可能性を世間に知らしめたという意味で日本の映画界になかなか意義深いことをしてのけたのではないでしょうか。

 そこまで大仰な話でなくても、「応援上映」の活況をみた映画業界の人が、映画館に人を呼ぶためのヒントを何か掴むことが出来たらいいなと、映画館で映画を見るのが好きな人間としては思います。

結局『キンプリ』とは「何」なのか

 まず初めにこちらの動画をご覧ください。

www.nicovideo.jp

  これは『キンプリ』公開前である2015年12月23日に菱田監督、一条シン役の寺島淳太さん、涼野ユウ役の内田雄馬さんが出演したニコ生にて菱田監督がずっと応援して来たファン――プリズムエリート達に向けて読み上げた「手紙」です。

 

 第一部、第二部にて『キンプリ』がどういう状況の中で生まれた作品なのかはお話ししました。スタッフ全員が背水の陣で挑んだ『キンプリ』。プリズムエリート達はその思いを受け取り、SNSで必死になって発信し続けました。「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、と。

『キンプリ』のヒットの要因として、よく「ファンの口コミ」「熱心な布教活動」が挙げられますが、これは本当にその通りだと思います。上映初日、学校行事で初日に見に行けなかった私がTL上で散見した「やばい」「キンプリはいいぞ」「キンプリを見てください」、そして「もう一回見なきゃ……」の言葉の数々。制作に携わったスタッフの方がそういった感想を見て思わず「何かとんでもないものを作ってしまったのでは」とツイートしてしまうほどのエリート達の反応。何かとんでもない事が起きているな、と思いました。

 

 そして『キンプリ』は、作り手、そして元からのファン達の想像を遥かに超えるヒットを記録しました。つい先日発売されたサウンドトラック。6月にDVD・Blu-rayの発売も決定。4月27日に発表された、興行収入5.3億円という数字。動員数は30万人突破、様々なグッズメーカーが『キンプリ』グッズの企画・発売を発表し、コラボショップやコラボカフェといったイベントも続々発表・開催されます。

 更に9月11日には東京国際フォーラムホールCにてイベント発表。内容はホールCのキャパいっぱい1500人による『キンプリ』応援上映と、Over the Rainbowのキャストである柿原徹也さん、前野智昭さん、増田俊樹さんの3人によるトークショー。『キンプリ』の舞台挨拶やイベントは、スタッフなら菱田監督やプロデューサーの西さん依田さん、キャラクターデザインの松浦さん、キャストはシン役寺島さんを初めとした新世代キャラクターのキャストが中心。『レインボーライブ』の頃からOver the Rainbowだった柿原さんたちは、ホームページ上や劇場パンフに掲載されるコメントはあれどイベントには登壇していませんでした。それがいよいよ、『キンプリ』のために用意された場でOver the Rainbowの3人が揃うわけです。

 初めから予定されていたわけでは無い展開が、プリズムエリート達が劇場に何度も足を運んで払ったお金から生み出されています。それもちゃんと、エリート達の思いに応える形で。貰った愛を愛で返すような形で。

 

 私は昨年になってから『レインボーライブ』を見たという、『プリティーリズム』を好きな方たちの中ではまだまだ新参です。正直プリズムエリートと名乗ることすらおこがましいです。でもこれが泣かずにいられるかという話です。現に今書きながら泣いてます。多分iTunesがGet music! とドラマチックLOVEを連続で流したせいだと思います。まさしく最高最強の気分です。

 きっと、『プリティーリズム・オーロラドリーム』の頃から『プリティーリズム』を応援して来た方々からすればこの感動は私などの比ではないのでしょう。

 

『キンプリ』は「キッズ向けコンテンツ原作もの」としても「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としても前例がない事をやってのけてしまいました。ミニシアター枠から始まって5月に入ろうとする今なお上映館数を伸ばし続け、3ヵ月以上に渡るロングランや上映37日目にして最高動員数を記録するというのも、映画として見てもとんでもない作品です。

 

 そして少しずつ、『キンプリ』を見た多くの人が待ち望んでいるであろう「続編」への光が見え始めていることが、監督達の各種媒体でのコメントからも伝わってきます。私も今から続きを見たくて堪りません。

 8月・12月には『レインボーライブ』のBlu-rayボックスの発売も予定されています。

 

 今改めてOver The Rainbowの「athletic core」を聞いてみると、その歌詞がまさしく『キンプリ』にかけた菱田監督達の思い、そして『キンプリ』が上映開始後に立ち向かった苦境、エリート達の力と共にそれを乗り越えていく様のように見えます。「athletic core」の初出は『レインボーライブ』最終話なので、この時点で『キンプリ』の構想があったわけではありません。しかし、苦境を誰かと共に乗り越え、でかい未来を組み替えて希望を目指すという思いをオバレが堂々と歌い上げるこの歌はプリズムの煌めきに溢れています。これはもう『キンプリ』が今起こしている奇跡がまさしくプリズムの煌めきによるものだからと言ってもいいのではないのでしょうか。

 もしかしたらプリズムエリート以外は気付いていなかっただけで、この世界は実質プリティーリズムだったのかもしれません。

 

 ……とまあそれはともかく、『キンプリ』が凄まじい力を持っている作品だということは間違いありません。

 作品を見た人の心を強く揺さぶる力。

 作品を見た人に「世界が輝いて見える」と感じさせるだけの力。

 辛く厳しい世界だからこそ、その世界を輝かせるプリズムショーの力。

 そして私がこのシリーズの記事で語ってきた、『キンプリ』というコンテンツの背景そのものが持つ圧倒的ドラマ性。

 作品が持つ力が現実世界にまで影響を及ぼすこの作品の存在を「奇跡」と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。『キンプリ』は「奇跡」です。「奇跡」であると同時に、コンテンツを心から愛する人たちがいたからこそ作り出すことが出来た、「生まれるべくして生まれた奇跡」なのです。もしかしたら『キンプリ』は、この世界にプリズムの煌めきを広めるためにこの世界に届いたgiftなのかもしれません。

 

 『キンプリ』は奇跡。

 『キンプリ』はプリズムの煌めき。

 『キンプリ』はgift。

 

 ここまでの記事を書いて、強くそう感じました。実際書きながら何回か泣いていました。『キンプリ』の凄いところは応援上映だけじゃないんだぞ!ということを言いたくて、沢山の人に知ってもらいたくて記事を書き始めたらとんでもない長さになってしまいました。

 研究不足や言葉足らずな点もあったかと思いますが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

『キンプリ』の話・第二部「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として見る『キンプリ』

 『キンプリ』の話・第二部です。

 この話は第二部なので、第一部を読んでから読んだ方が分かりやすいかと思います。第一部はカテゴリーの「『キンプリ』の話」のところから読むことが出来ます。

 

 第一部の記事を書いている途中、2016年4月27日(水)にて開催された菱田監督らによるトークイベント「プリズムエリートの二次会」にて「興行収入5億円」というニュースが発表されて開いた口が塞がりませんでした。ついこの間、3月9日のサンキュー♡上映会で3億円突破と発表されたばかりだったような気がしていたのですが、なんだかとんでもないコンテンツと出会ってしまったと思いました。

 それもこれも、2015年初頭頃の私に『プリティーリズム・レインボーライブ』の視聴意欲を起こさせてくれたTwitter上のプリズムエリートの皆さんのお陰です。この場を借りてありがとうの代わりに好きって言わせてください。

 さて、第一部では「キッズ向けコンテンツ原作」としての『キンプリ』の話をしました。第二部では「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としての『キンプリ』の話をします。

 『キンプリ』は「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としては非常に異質なのです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」とは

 まず、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」について。

 この「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」というのは私の造語ですが、もしかしたら私が知らないだけで既にこの言葉を使用している人が私より先にいるかもしれません。もしいたらごめんなさい。

 「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」とは、主に中学・高校生以上の女性をターゲットにした、歌う男性キャラクターがコンテンツの中心になっているコンテンツのこと全般を指します。私はこの手のコンテンツに明るくないのですが、いわゆる「アイドルもの」が大半を占めている印象を受けます。アイドルではなくバンドや役者だったり、アニメ作品そのものがミュージカルだったり、様々な形態で存在していますが、この「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」のほとんどに共通しているのは「中高生以上の女性がターゲットである」ということです。

 しかし、私が「女性向け歌ものコンテンツ」とは言わずに「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」と表記することにしたのには、いくつか理由があります。

 まず、菱田監督自身が『キンプリ』を「女性向け」としては考えていないという点。そして、女性をターゲットにしつつ男性ファンの存在を視野に入れているコンテンツも存在しているためです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」のプラットフォームの形は様々ですが、基本的にゲーム(コンシューマーゲームソーシャルゲーム問わず)やアニメ、あるいはCD・アルバムそのものです。いずれも初めから中高生以上がターゲットなので、メディアやグッズ、イベント展開などもその層を意識したものになります。

 

『KING OF PRISM』という『プリティーリズム』から生まれた新たなコンテンツ

 とあるインタビュー記事にて、菱田監督と依田さんがこのように語っています。

 

菱田:ただ今回作っているのは『プリティーリズム』って言われると『プリティーリズム』なんですけど、今回作っているのは『KING OF PRISM』なんですよね。今やらなくちゃいけないのは新しいコンテンツを作り上げることなんです。

 

依田:僕も『プリティーリズム』は良い意味で引きずりたく無くて。『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』で菱田さんが引導を渡してくれたので、『プリティーリズム』は女児アニメとしてはきれいに完結した作品なんです。なので、またここが新たなスタート地点として作っています。

 

菱田:今回は新しいコンテンツとして見て欲しいですね。

引用元記事

www.animatetimes.com

  『キンプリ』は女児向けアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』を原作とした作品でありながら、新しいコンテンツなのです。

 そして『プリティーリズム』から『KING OF PRISM』になるにあたって、「女児向けコンテンツ」から「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」へとシフトしたことになります。

 個人的にそれを一番最初に意識することになったのは、『キンプリ』のフライヤーが最初に配布された場所が2015年11月に開催されたイベント「アニメイト ガールズフェスティバル」(以下「AGF」)のエイベックスブースだった点でしょうか。

 AGFは年に一回開催され、その名の通り女性向けコンテンツが一堂に会するイベントで、毎年非常に盛況なようです。ようです、という曖昧な表現なのは、私がAGFに行ったのは2015年のAGFが初めてだったからです。目当ては『キンプリ』のフライヤーではなく『SHOW BY ROCK!!』と『スタミュ』の物販だったのですが、結果的に『キンプリ』のフライヤーももらってくることになりました。

 フライヤーを貰った時、『キンプリ』は本当に女児向けじゃない作品なんだな、とぼんやりとではありますが思いました。Over The Rainbowの3人は『レインボーライブ』の頃から登場しており、この時点で女性ファンの存在は意識していたでしょう。とは言え、2014年12月に開催された『プリパラ&プリティーリズム クリスマス☆パーティー』で公開されたHiro×Kojiの「pride」、2015年3月に公開された『劇場版プリパラ み〜んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』の「ルート4 胸キュン!プリズムボーイズツアー」のように、映像作品として登場する際は一応女児向けの体裁は取っていました。(ルート4は毎週金曜の最終上映回限定上映でしたが……)

 それが『キンプリ』でとうとう「女児向け」であることをやめたのです。詳しくは第一部で述べましたが、『プリティーリズム』の後継シリーズである『プリパラ』との競合を避ける以上は「女児向け」であることをやめざるを得ないというのもあります。

 それでは女児向けであることをやめた時、Over The Rainbowが中心にいるコンテンツはどんなコンテンツになるのか? 天才作詞作曲家・神浜コウジ。絶対アイドル・速水ヒロ。ストリートのカリスマ・仁科カヅキ。Over the Rainbowは、そんな3人で構成されたプリズムボーイズユニットです。3人で歌い、踊り、プリズムショーをします。自然と、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」になるのです。

 

「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」としての『キンプリ』

 それでは本題の、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として見た時の『キンプリ』の話をします。

 ますキッズ向けコンテンツを愛好する人間として言いますが、キッズ向けアニメを好んで見ている人の人口は、アニメファンの人たち全体の中で見ると少ないです。そもそも、「子供向けだから」という理由だけで見ない人が多い。多すぎる。いくら面白いよと言っても見ない。声優ファンの人に○○さん出てるよ!と言っても見ない。○○デビュー作だぞ!と言っても見ない。「子供向けだから」「話数が多いから」とか色々言って見ない。そういう人達が何を見ているかって言うと深夜アニメです。

 そういうわけでというわけではないですが、夕方や朝は子供向けアニメの枠で埋まっていることもあり、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」においてメディアミックス展開の中でテレビアニメを放送する時は、それがどれだけ子供でも見れる内容であったとしても、必ず深夜帯に放送されます。

 それでは『キンプリ』はどうかと言いますと、原作がまず女児向けアニメ。女児向けアニメの男性キャラクターを中心としたスピンオフ作品です。まず女児向けアニメを見ているアニメファンが少ないのに、そこに「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」として参戦したわけです。

 しかも今は「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」の戦国時代と言っても過言ではないくらいです。男性キャラが歌って踊るコンテンツはもうたくさんあります。そして『キンプリ』は、初めて「女児向けアニメ原作」としてその戦国時代に現れたコンテンツなのです。そもそも当時「Over The Rainbow」と聞いてピンとくる人がいったい何人くらいいたんだろうという話です。

 この「知名度の低さ」という大きなハンデを『キンプリ』が公開までにどのようにカバーしようとしていったかといいますと、前売り券の絵柄で話題性を作ったのが最初の仕掛けでした。

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 前売りが5枚綴りというだけでも十分「やばい」のに、その2種類ある絵柄のうち1種が男5人の全裸。その上そのバージョンの前売り券の名前が「正装ver.」。もう意味が分かりません。

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  こちらの記事で「スタッフ」氏による解説がインタビュー形式で紹介されましたが、読んでもやっぱり意味が分かりませんでした。でも数か月後に『キンプリ』本編を見たらその意味が分かってしまったので本当に恐ろしい作品だと思いました。

 ともかく、この前売り券もプロモーション戦略として押し出されたものでした。

 

 更に公式は、『キンプリ』から初めてOver The Rainbowに触れる人もいることから、2015年11月の時点で「90秒でわかる!Over The Rainbow」という動画を公開しました。ただしこの動画、3分06秒あります。

www.youtube.com

 

 また、西さんなどがインタビューなどで答えているように、『キンプリ』は初めからリピーターを獲得することを目標としていました。

ascii.jp

  第一部でも紹介したこちらのインタビュー記事でも触れられているように、製作委員会を構成するはエイベックス・ピクチャーズ、タツノコプロタカラトミーアーツのたった3社。スポンサーもタイアップも何もない。『プリティーリズム』の知名度が高いとは決して言えない。スポンサーもタイアップも何もないからお金もない。しかも世の中、競合相手として女性向けに作られた男性キャラ中心歌ものコンテンツで溢れ返っている。

 そうした本当に「崖っぷち」とも言える状況下。公開前のニコ生で監督がスタッフに無断でファンに宛てた3枚分の手紙を書いて読み上げ「劇場に足を運んでください」とまで言うほどの逼迫ぶり。

 そして『キンプリ』は公開され――ここから先は今この記事を読んでいる皆さんもご存知の通りです。紆余曲折を経て『キンプリ』は興収5億を突破し、名実ともに間違いなく「大ヒットアニメ映画」となりました。

 

 原作の低い知名度。

 資金は少なく、お金も十分に使えない。

 前売りもそんなに売れてない。

 競合コンテンツ多数。

 

 これらの数々のハードルを『キンプリ』がなぜ乗り越える事が出来たのか、これについては第三部「映画館で見る映画としての『キンプリ』」で軽くではありますが触れようと思います。

 とにかく、『キンプリ』は「女性向け歌ものコンテンツ」としてはかなり異質なところからスタートした作品だということがこれで分かってもらえたのではないでしょうか。

 

 第三部、「映画館で見る映画としての『キンプリ』、まとめ」に移ります。

k-iruka417.hatenablog.com

『キンプリ』の話・第一部「キッズ向けコンテンツ原作もの」として見る『キンプリ』

 発売されましたね、サントラ。「ドラマチックLOVE」を初めとした名曲揃いで、音質の悪い私のiPod(7年物)で聞くのが申し訳なくなるくらいです。

 さて、今日は『劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm』(以下『キンプリ』)がなぜ凄いのか、という話をしようと思います。

 アイドル論や演出面、応援上映についてはすでにあちこちで『キンプリ』のすごさが語られていますが、「キッズ向けコンテンツ」と「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」の両方の視点から論じたものはあまり見かけないので、サントラ発売を機に自分で書こうと思いました。ついでに以前Privatterで公開した文章の一部サルベージになりますが、「映画館で見る映画」という視点からも『キンプリ』の話をしようと思います。

 そしてお察しの通り文章がめちゃめちゃ長くなったので、三部に分けて掲載することにしました。

 とは言え私は「キッズ向けコンテンツ」についてはそれなりに詳しいつもりでも、「男性キャラ中心歌ものコンテンツ」は『キンプリ』以前には『幕末Rock』『スタミュ』くらいしか縁が無かったため、なにか間違っていたり研究不足な点が多々あるかと思いますのでご了承ください。

 それではまず、「キッズ向けコンテンツ」から見て『キンプリ』はどのような作品なのか、という話をしようと思います。

 

「キッズ向けコンテンツ原作もの」として見た『キンプリ』

「キッズ向けコンテンツ」とは

 当記事における「キッズ向けコンテンツ」とは、「未就学児~中学生を対象として開発・展開されているコンテンツ」のことを指します。

 一口に「キッズ向けコンテンツ」と言っても、多くの分類をすることが出来ますが、大まかには「男児に向けたものか」「女児に向けたものか」「男児・女児両方に向けたものか」に分ける事が出来ます。

 更に、キッズ向けコンテンツの多くは、メディアミックス展開の一環としてテレビアニメを放送します。おもちゃ・ゲーム・カードといった「ホビー」を子供達に、あるいは子供達の親御さんに購入してもらうため(つまり「ホビー」を販促するため)に、そのコンテンツを原作としたテレビアニメを土日の朝・夕方、あるいは平日の夕方に放送する。これが、キッズ向けコンテンツにおける最も普遍的で確実なやり方です。

 キッズ向けアニメの多くはDVDやBlu-rayといった円盤を売ることよりホビーを売ることに重きを置いており、アニメの続編が放送されるかどうかはホビーの売れ行き・展開にかかっていると言っても過言ではありません。

 とは言えキッズ向けアニメにもコンテンツ先行型やホビー先行型、そもそもホビーの販促は目的ではないアニメなど細かな違いもあるのですが、話が逸れるのでここでは割愛します。

 

プリティーリズム・レインボーライブ』について

 さて、『キンプリ』の前作にあたるテレビアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』(2013年4月6日~2014年3月29日)(以下『レインボーライブ』)はアニメ「プリティーリズム」シリーズの三作目であり、「女児向けホビー原作アニメ」になります。

 

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 『レインボーライブ』の主人公は、『キンプリ』にもその姿がちらっと登場した女の子、彩瀬なるちゃん。『キンプリ』の時点では高校生になっていますが、『レインボーライブ』では中学生です。「プリティーリズム」シリーズは全作『キンプリ』同様に菱田正和さんが監督を務めており、『レインボーライブ』も例外ではありません。

 テレビアニメ「プリティーリズム」シリーズの原作は、2010年から2014年まで全国で稼働していた女児向けのアーケードゲームプリティーリズム」です。

 

プリティーリズム』ゲーム公式サイト

http://www.prettyrhythm.jp/game.php

 

 現在稼働中のアーケードゲーム『プリパラ』の前身に当たり、現在でも全国に6店展開している「プリズムストーンショップ」にて遊ぶことが出来ます。

 この「プリティーリズム」の特徴は、「プリズムストーン」と呼ばれる、筐体から排出されるハート型の石を使って、ゲームの中の女の子キャラクターを着せ替える(コーディネートする)ことが出来る、という点です。そしてプレーヤーは、プリズムストーンを使ってコーディネートされた女の子がプリズムショーをする姿を見ながらリズムゲームをします。

 アニメシリーズの作中でもプリズムストーンは、プリズムショーに挑むキャラクター達の着替えに必要なアイテムになります。

 また、『レインボーライブ』に限った話ではありませんが、アーケードゲームを原作としたテレビアニメは実際の稼働状況と連動してコーデや曲を登場させます。それはもちろん、アニメを見ている女の子達に実際にお店に行ってゲームをプレイしてもらうためです。

 例えば、実際にアニメを見て、なるちゃんにこのコーデを着せて、なるちゃんの曲「ハート♥イロ♥トリドリ~ム」でプリズムショーがしたい! と思った女の子がいるとします。放送を見た後で、近所のビックカメライトーヨーカドーのおもちゃ売り場に行ってプリティーリズムをプレイすると、なるちゃんで遊ぶことが出来て、「ハート♥イロ♥トリドリ~ム」でプリズムショーをすることが出来ます。一方で筐体から排出されるプリズムストーンはランダムなので、遊べば遊ぶだけ欲しいコーデを揃えられる可能性は高くなります。

 たくさんの子供達(時には大きいお友達)にたくさん遊んでもらうための原作ホビーとの連動は、ホビー販促を目的とするほとんど全てのキッズ向けアニメにおいて重要なポイントになります。

 

 『レインボーライブ』は女児向けとして放送されていましたが、人間ドラマの濃密さやプリズムショーの見応え等、女児だけでなく大人が見ても面白いと、キッズ向けアニメを好む人達の界隈では非常に評価が高い作品でした。

 『レインボーライブ』はなるちゃんを初めとした女の子キャラクターが物語の中心です。しかし、女性中心の物語の中でもドラマがしっかりと描かれていたのが神浜コウジ・速水ヒロ・仁科カヅキの男性キャラクター達でした。彼らは決して女の子の相手役・恋愛対象としてだけの存在ではありませんでした。『キンプリ』でも僅かに語られた男達のドラマが、ほぼ全編に渡って熱く描かれていました。

 そして凄いのが、プリティーリズムのゲームではコウジもヒロもカヅキも遊べないところです。彼ら3人は、ゲームで遊べるキャラクターではないにも関わらずショーのためにCGモデルが作成され、専用の曲が用意され、そして3人で歌っているのです。

 

 余談ですが、ヒロは筐体仕様CGモデルはゲーム『プリパラ&プリティーリズム プリパラでつかえるおしゃれアイテム1450!』のために制作され、実際にプレイすることが出来ます。

 こちらのゲームは実際のプリティーリズムの筐体のゲームがどんな感じだったのかが分かるようになっているので、気になる方はプレイしてみてはいかがでしょうか。「pride」でプリズムショーが出来るのはもちろん、ヒロが跳ぶはちみつキッスも見れます。全てのプリズムジャンプにきちんとヒロの声が付いています。

 シナリオ執筆は『レインボーライブ』の副シリーズ構成(第1話~39話)・シリーズ構成(第40話~第51話)を務めた坪田文さんで、シナリオもキャラゲーの枠にはとどまらない良作です。

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 そして『キンプリ』は、『レインボーライブ』のコウジ・ヒロ・カヅキの3人のユニット「Over The Rainbow」にスポットを当て新世代のキャラクター・一条シンを主人公に据えた、いわゆる「『レインボーライブ』のスピンオフ作品」という位置付けになります。

 しかも、『プリティーリズム』シリーズとして『キンプリ』を見ると、実は『キンプリ』は初めての、総集編ではない完全新作映画なのです。

 『キンプリ』が製作されるに到るまでの経緯については、『キンプリ』のプロデューサーであるエイベックス・ピクチャーズの西浩子さんへのインタビュー記事で詳しく語られるので、是非読んでみてください。

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「キッズ向けコンテンツ原作」としての『キンプリ』

 さて、ここまで「キッズ向けコンテンツ」についてと、『プリティーリズム・レインボーライブ』についての話、もとい、これからの話を理解するための前提知識の説明をしました。いずれにも慣れ親しんでいる人には退屈だったかもしれません。

 ここから本題の「キッズ向けコンテンツ原作という視点から見た時の『キンプリ』」の話に入ります。

 

 さて、『キンプリ』は、キッズ向け・女児向けコンテンツ原作作品として見ると非常に異質な作品です。どう異質なのかと言いますと。

 

「原作ゲームの展開がほぼ終了しており」

「ホビー系タイアップ皆無の」

「男性キャラクターをメインに据えて」

「映像企画・製作会社が企画した」

「3年前(公開当時)に放送終了した女児向けアニメの」

「女児向けではないスピンオフ劇場用映画」

 

 これ、キッズ向けコンテンツ原作アニメ作品としてはやばいところだらけなんです。

少しずつ解説していきます。

 

「原作ゲームの展開がほぼ終了しており」
「ホビー向けタイアップ皆無の」

 キッズ向けアニメにおいて、初めからホビー販促はしないとされているものでない限りこれはとんでもないことです。いやキンプリはキッズ向けに制作されたわけではないのですが。原作のタカラトミーアーツはあくまで協賛として製作委員会への参加。

 先ほども述べた通り、ゲーム「プリティーリズム」は現在プリズムストーンショップでしか稼働していません。普通、ホビー原作アニメの劇場版となると、原作ホビーが映画に合わせてどんどん新商品を出します。しかし『キンプリ』に合わせてプリティーリズムの新弾が稼働するなんてことはありません。もちろんプリパラとのタイアップもありません。プリパラの筐体で大和アレクサンダーが使えたりなんかしません。

 これはつまり、「映画を公開しても映画の興行収入以外での大きな収入が見込めない」ということです。

 

「男性キャラクターをメインに据えて」
「映像企画・製作会社が企画した」

 『キンプリ』は西さんが社内会議にてオバレの3人がメインの深夜アニメの企画を提出したことが始まりです。そもそもおもちゃメーカーからの企画ではない。ホビー原作アニメなのに。

 そして『レインボーライブ』は男性キャラクターが物語の主軸としてどんどん前に出て来るという点で女児向けとしては異質ですが、『キンプリ』はほぼ男性キャラクターしか出て来ません。

 女児向けアニメは、女の子が主人公なのが基本です。その女児向けアニメに登場する男性キャラクターをメインに据えるならば女児ではない層に向けて展開する、つまり深夜枠での放送。理に適っているように見えますがそもそも女児向けアニメを見ている「大きなお友達」の人口がそう多くない(これについては第二部で)のに、西さんは思い切ったことをしたなあ……と思います。しかしそこから様々な積み重ねを経て『キンプリ』に繋がっているのだから西さんに足を向けて眠れません。

 

「3年前(公開当時)に放送終了した女児向けアニメの」
「女児向けではないスピンオフ劇場用映画」

 ホビー原作アニメの続編はホビーの売れ行きにかかっている、という話を先ほどしました。つまりホビーの展開が終了したら、普通はもう続編の制作も放送も期待することはできません。

 女の子達をメインに据えている女児向けコンテンツの場合は男性ファンからの支持を得ていることが多いため、アニメが終了しても何らかの形で展開を続けることもあります。プリティーリズムの場合は「プリシェイ」という『プリティーリズム』シリーズのキャラクターと楽曲が登場するリズムゲームが配信中です。

 プリティーリズムの場合、後継作品である『プリパラ』がゲーム・アニメともに好調な展開をしています。最も大きなお客さんである「女児とその親御さん」は現在そちらに向いています。つまり、『レインボーライブ』の場合、続編を作ろうとしてもお客さんが「大きいお友達」しか見込めないのです。

 また、キッズ向けアニメの正統なる続編をホビー系タイアップ無しで、そして収益がきちんと見込める形で作ろうと思った場合、その当時子供だった人達が自分でお金を稼いで払う事が出来るようになる時期まで待つ必要があります。その期間は普通だいたい15年くらいでしょうか。

 しかし『キンプリ』の場合、『レインボーライブ』最終回からまだ3年しか経っていない時点での公開です。『レインボーライブ』最終回当時7歳だった女の子もまだ10歳です。

 プリパラが好調という事情もあって、『キンプリ』は『プリパラ』から幼い女の子のお客さんを取ることがないようにと、競合を避ける事をマーケティングの際は最優先にしていたようです。実際、『キンプリ』の公開発表直後に公開された映画『とびだすプリパラ み〜んなでめざせ!アイドル☆グランプリ』に『キンプリ』の予告編は流れませんでした。

 「本来女児向けに制作されていたアニメの登場人物をメインとして女児向けではない作品を作る」という事が相当なチャレンジです。キッズ向けコンテンツ原作なのに、キッズに向けて作っていないからです。『キンプリ』の場合、グッズも公開当時に劇場用グッズなども販売されていたり販売予定が発表されていたりはしましたが、グッズのアニメ制作元への利益還元率はそう高くありません。円盤の発売予定も初めはなく、ほとんど興行収入でしか収益を見込むことしか出来ないのです。

 イベントやインタビュー記事で菱田正和監督や西さん、タツノコプロの依田健プロデューサーらが語っているように、本当に崖っぷちの状況の中で作られた作品だということは察するに余りあります。

 

 「キッズ向けコンテンツ原作としての『キンプリ』」がいかにとんでもない作品なのかお分かりいただけたでしょうか。

 続いては第二部にて、「男性キャラ中心歌ものコンテンツとしての『キンプリ』」のお話をしようと思います。

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